【楞厳経】巻八
三つの漸次禁戒
お釈迦様:
[SG0801001]
「アーナンダよ! 各種類の衆生は他の種類に生まれ変わることがある。
「阿難! 如是眾生一一類中,亦各各具十二顛倒。[SG0801002]
目を擦れば幻影が見えるように、妙明で、円浄な真心は種々の虚妄の性を現すことができる。
猶如揑目,亂花發生。顛倒妙圓真淨明心,具足如斯虛妄亂想。[SG0801003]
お前がいま、如来の三摩地を修めようとするならば、妄想の根本を断ち切るべく、三つの漸次禁戒を守らなければならない。
汝今修證佛三摩提,於是本因元所亂想,立三漸次方得除滅。[SG0801004]
たとえば、毒を盛った器に甘露を盛ろうとするなら、まず灰・香を混ぜた熱湯でその器を洗い清めなければいけない。
如淨器中除去毒蜜,以諸湯水并雜灰香洗滌其器,後貯甘露。[SG0801005]
その三つの漸次禁戒とは何か?
云何名為三種漸次? [SG0801006]
一つ目は、悪性を助長する食物を断つこと。
一者、修習除其助因。[SG0801007]
二つ目は、悪しき心性を断ち切ること。
二者、真修刳其正性。[SG0801008]
三つ目は、塵境を追わないこと。
三者、增進違其現業。[SG0801009]
では、悪性を助長する食物を断つとはいかなることか? アーナンダよ!
云何助因? 阿難! [SG0801010]
世界の十二類の衆生は、四類の食に依って生存している。
如是世界十二類生,不能自全,依四食住,[SG0801011]
すなわち、段食(身体の栄養となる食物)・触食(感官の満足)・思食(精神の満足)・識食(自我の維持という深層意識の満足。無色界の天人が識食を食とする)である。
所謂段食、觸食、思食、識食;[SG0801012]
ゆえに如来は、『すべての衆生は食に依って生きる』と説くのだ。
是故佛說『一切眾生皆依食住」。[SG0801013]
アーナンダよ! すべての衆生は食物によって身を保ち、毒を飲めば命を失う。衆生が三摩地に入りたいなら、世間の五辛を断たなければならない。
阿難! 一切眾生,食甘故生,食毒故死。是諸眾生求三摩提,當斷世間五種辛菜。[SG0801014]
それらの五辛は、煮て食べれば情欲が盛んになり、生で食べれば怒りが込み上げてくる。
是五種辛,熟食發婬,生啖增恚。[SG0801015]
五辛を食べる者は、たとえ十二部の経典を広く説くことができても、十方の天仙はその臭気を嫌い、その人を遠ざける。
如是世界食辛之人,縱能宣說十二部經,十方天仙嫌其臭穢,咸皆遠離。[SG0801016]
餓鬼はその臭気に引き付けられ、その人の唇を舐める。
諸餓鬼等,因彼食次,舐其唇吻。[SG0801017]
このような者は常に鬼と共にいるゆえ、福徳が日々減少し、利益を得ることがない。
常與鬼住,福德日銷,長無利益。[SG0801018]
三摩地を修めても、菩薩・天仙・十方の善神の守護は得られず、
是食辛人修三摩地,菩薩、天仙、十方善神不來守護。[SG0801019]
大力の魔王は隙に乗じて如来の姿を現し、邪法を説き、戒律を誹謗し、三毒を称揚する。
大力魔王得其方便,現作佛身來為說法,非毀禁戒,讚婬、怒、癡,[SG0801020]
命が尽きる時、その者は魔王の眷属となり、そして福が尽きた後に無間地獄に落ち入るのだ。
命終自為魔王眷屬。受魔福盡,墮無間獄。[SG0801021]
アーナンダよ! 菩提を求める者は、五辛を永遠に断たなければならない。
阿難! 修菩提者永斷五辛,[SG0801022]
これが、修行を漸次成長させる第一の禁戒である。
是則名為第一增進修行漸次。[SG0801023]
そして、悪しき心性を断ち切るとはいかなることか? アーナンダよ!
云何正性? 阿難! [SG0801024]
衆生が三摩地に入りたいなら、まず清浄の戒律を厳格に守らなければならない。
如是眾生入三摩地,要先嚴持清淨戒律,[SG0801025]
さらに、情欲を永遠に断ち切り、酒肉を断ち、火で煮えた食物のみを食べ、生で食べてはならない。
永斷婬心,不飡酒肉,以火淨食,無啖生氣。[SG0801026]
アーナンダよ! 情欲と殺生を断ち切らずに三界を脱した者はいまだかつていない。
阿難! 是修行人,若不斷婬及與殺生出三界者,無有是處。[SG0801027]
毒蛇や仇敵を避けるように淫欲を離れるべきだ。
當觀婬欲猶如毒蛇,如見怨賊。[SG0801028]
まず声聞の四波羅夷あるいは八波羅夷を守って身を律し、次に菩薩の律儀に従って悪しき心性を断ち切る。
先持聲聞四棄、八棄,執身不動。後行菩薩清淨律儀,執心不起。[SG0801029]
この禁戒を成し遂げれば、世間に生まれる業も殺される業も永遠に持たない。
禁戒成就,則於世間永無相生相殺之業。[SG0801030]
盗みをしなければ、借りがなく、再び世間に生まれて返す必要もないのだ。
偷劫不行,無相負累,亦於世間不還宿債。[SG0801031]
このような清浄な人が三摩地を修めれば、父母から生まれた肉身のまま、天眼を持っていなくても、自然に十方の世界を見ることができる。
是清淨人修三摩地,父母肉身不須天眼,自然觀見十方世界,[SG0801032]
如来に拝謁し、仏法を聴き、指導を受け、大神通を習得し、十方の世界に遊ぶことができる。身命が清浄となり、永遠に苦難を免れる。
覩佛聞法,親奉聖旨,得大神通,遊十方界,宿命清淨,得無艱嶮。[SG0801033]
これが、修行を漸次成長させる第二の禁戒である。
是則名為第二增進修行漸次。[SG0801034]
では、塵境を追わないとはいかなることか? アーナンダよ!
云何現業? 阿難! [SG0801035]
このように禁戒を清浄に守る者は貪欲がないゆえ、心は六塵を追わず、さらに内在する真性に戻る。
如是清淨持禁戒人,心無貪婬,於外六塵不多流逸,因不流逸旋元自歸。[SG0801036]
六根が六塵に攀縁をしなければ、対立が消え、六根の働きは一つの覚性に還元する。
塵既不緣,根無所偶,反流全一,六用不行,[SG0801037]
まるで瑠璃の中に明月(澄み渡った満月)がかかるが如く、すべてが清浄となり、身心は爽やかで、円妙(円満・精妙)・平等・安楽を得る。
十方國土皎然清淨。譬如琉璃,內懸明月,身心快然,妙圓平等,獲大安隱。[SG0801038]
その時、すべての如来が悟った円妙で、清浄な秘密の真性が心の中に現れ、その者は瞬間に無生法忍を悟るのだ。
一切如來密圓淨妙皆現其中,是人即獲無生法忍。[SG0801039]
さらに修行を進め、諸々の聖者の位に登っていく。
從是漸修,隨所發行,安立聖位。[SG0801040]
これが、修行を漸次成長させる第三の禁戒である。
是則名為第三增進修行漸次。[SG0801041]
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