りょうごんきょう】巻二


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 > 7.別業妄見と同分妄見


 べつごうもうけんどうぶんもうけん


アーナンダ:

阿難白佛言:[SG0207001]

そん様は私たちのためにいんねん・自然、そしてごうと非ごうについて説いてくださいましたが、私はまだ理解できかねます。

「世尊! 如佛世尊為我等輩宣說因緣及與自然,諸和合相與不和合,心猶未開;[SG0207002]

さらに『かくしょうが見ではないこと』をはいちょうし、迷いは深まるばかりです。

而今更聞見見非見,重增迷悶。[SG0207003]

どうかごを! 私たちに大の目を賜り、明浄(しょうじょう・清明)な真心のほんしつをお説きください!」

伏願弘慈施大慧目,開示我等覺心明淨!」[SG0207004]

そう言い終えると、アーナンダは悲しげに泣いておシャ様にちょうらいし、おシャ様の教えに聴き入りました。

作是語已,悲淚頂禮,承受聖旨。[SG0207005]


その時、おシャ様はアーナンダと会衆を憐れみ、大(呪文)及び種々のさんの修行を広く説こうとして、アーナンダに言いました。

爾時,世尊憐愍阿難及諸大眾,將欲敷演大陀羅尼諸三摩提妙修行路,告阿難言:[SG0207006]

「お前は私の教えをすべて覚えているが、それは単に知識を積んだにすぎない。

「汝雖強記,但益多聞,[SG0207007]

シャと深いないかん(自分のしきじょうたいを観察すること)についてはまだ修得できていない。

於奢摩他微密觀照,心猶未了。[SG0207008]

よく聴きなさい! お前のために一つずつ説明してやろう。同時に未来の者たちがだいの聖果を得られるように。

汝今諦聽! 吾當為汝分別開示,亦令將來諸有漏者獲菩提果。[SG0207009]


アーナンダよ! すべてのしゅじょうは世間でりんし続けている。なぜなら、皆は二つのてんとうもうけんしんじちではない見)に惑わされているからだ。それゆえ、業に従ってりんし続けている。

阿難! 一切眾生輪迴世間,由二顛倒分別見妄,當處發生,當業輪轉。[SG0207010]

では、二つのもうけんとは何か?

云何二見? [SG0207011]

一つ目は、しゅじょうべつごうもうけん

一者、眾生別業妄見,[SG0207012]

二つ目は、しゅじょうどうぶんもうけんである。

二者、眾生同分妄見。[SG0207013]


    べつごうもうけん


べつごうもうけんとは何だろうか?

云何名為別業妄見? [SG0207014]

アーナンダよ! たとえば、こうしょうの人が夜に灯火を見ると、灯りの周りに五色重なっている光の輪(虹がかかっているようなさま)が見える。

阿難! 如世間人目有赤眚,夜見燈光,別有圓影五色重疊。[SG0207015]

どう思うか? 夜に灯りの周りに現れる光の輪は、灯り自身の色なのか、それとも見の色なのか?

於意云何? 此夜燈明所現圓光,為是燈色? 為當見色? [SG0207016]

アーナンダよ! もしそれが灯り自身の色であるならば、なぜこうしょうを患っていない者は光の輪が見えず、こうしょうの患者だけは見えるのか?

阿難! 此若燈色,則非眚人何不同見,而此圓影唯眚之觀。[SG0207017]

もしそれが見の色であるならば、見はすでに色となり、なぜ目にしょうがいがあると言うか?

若是見色,見已成色,則彼眚人見圓影者名為何等? [SG0207018]

また、アーナンダよ! もし光の輪が灯りに依って出現するものでないならば、周りの衝立や座卓にも光の輪が現れるはずだ。

復次,阿難! 若此圓影離燈別有,則合傍觀屏帳、几筵有圓影出。[SG0207019]

もし光の輪が見に依って出現するものでないならば、つまり、目とは関係なく、なぜこうしょうの患者だけに光の輪が見えるのか?

離見別有,應非眼矚,云何眚人目見圓影? [SG0207020]


聴きなさい、灯りは塵境であり、光の輪は目のしょうがい者の見える幻影である。

是故當知色實在燈,見病為影;[SG0207021]

幻影やそのもうけんは目のしょうがいいんし、かくしょうには何のしょうがいもない。

影、見俱眚,見眚非病。[SG0207022]

それゆえ、光の輪は塵境とも見とも言えず、非塵境とも非見とも言えない。

終不應言『是燈是見,於是中有非燈非見』,[SG0207023]

それは第二の月と同じであり、ほんらいの月でも月の影でもない。

如第二月非體非影。[SG0207024]

なぜかというと、寄り目によって起こるもうけんにすぎない。

何以故? 第二之觀,揑所成故。[SG0207025]

賢者はこのように知っている、

諸有智者不應說言:[SG0207026]

『第二の月は、しんじちでも偽りでもなく、見でも非見でもない。』

『此揑根元,是形非形,離見非見』,[SG0207027]


光の輪もこれと同様だ。目のしょうがいによって出現し、

此亦如是,目眚所成,[SG0207028]

これを塵境や見に分類することはできない。ましてや、非塵境と非見は、言うまでもないことだ。

今欲名誰是燈、是見? 何況分別非燈、非見! [SG0207029]


    どうぶんもうけん


では、どうぶんもうけんとは何だろうか? アーナンダよ!

云何名為同分妄見? 阿難! [SG0207030]

このエンダイ(人間世界)では、大海を除いて三千の洲がある。

此閻浮提,除大海水,中間平陸有三千洲。[SG0207031]

そして、中央の大洲では、東から西まで合わせて約二千三百の大国がある。

正中大洲,東西括量,大國凡有二千三百;[SG0207032]

その他の海上の洲では、一洲に二、三百あるいは一つ、二つ、三十、四十、五十の国がある。

其餘小洲,在諸海中,其間或有三兩百國,或一或二,至于三十、四十、五十。[SG0207033]


アーナンダよ! たとえば、小さな洲には二つの国があり、一方の国の人々が同じ報いを受けている。すると、その国には数々の不吉な現象が出現する。

阿難! 若復此中有一小洲,只有兩國。唯一國人同感惡緣,則彼小洲當土眾生,覩諸一切不祥境界,[SG0207034]

たとえば、二つの太陽・二つの月・

或見二日,或見兩月,[SG0207035]

うん 薄い光の輪が月にかかる現象)・

其中乃至暈、[SG0207036]

てき 薄い黒気が月を覆う現象)・

適、[SG0207037]

はいけつ(悪気が月を囲む現象。その形が玉玦・弓の如し)・

珮玦、[SG0207038]

彗星(ほうき星。長い尾を引く天体)・

彗孛、[SG0207039]

流れ星・

飛流、[SG0207040]

(耳のような悪気が太陽の側にある現象)・

負耳、[SG0207041]

虹・蜺(夕暮れ時に現れる虹)などである。

虹、蜺。種種惡相,[SG0207042]

しかし、その国の人々だけはこれらの現象が見え、別の国の人々は見たことも聞いたこともない。

但此國見;彼國眾生,本所不見,亦復不聞。[SG0207043]



アーナンダよ! いまこの二つの事例を対照して説明しよう。

阿難! 吾今為汝以此二事進退合明。[SG0207044]

アーナンダよ! べつごうもうけんの例において、光の輪は外界の塵境に見えるが、実際には目のしょうがいによって起こる妄覚である。

阿難! 如彼眾生別業妄見,矚燈光中所現圓影,雖現似境,終彼見者目眚所成。[SG0207045]

しょうがいは目から起こり、塵境にいんするものではない。そもそもかくしょうにはしょうがいがない。

眚即見勞,非色所造;然見眚者終無見咎。[SG0207046]

ゆえに、いまお前が山河や国土やしゅじょうが見えることは、すべてから『見の病』にいんするものだ。

例汝今日,以目觀見山河國土及諸眾生,皆是無始見病所成。[SG0207047]

見と見の対象は外在(外界に存在すること)の境に見えるが、実は真心から起こるもうけんである。

見與見緣似現前境,元我覺明見所緣眚。[SG0207048]

『何を見た』というにんこそしょうがいであり、もうけんの情報を受け取るというかくしょうの働きにはしょうがいがない。

覺見即眚,本覺明心覺緣非眚;[SG0207049]

もうけんを見破ることこそしんじちの見である。

覺所覺眚,覺非眚中,此實見見,[SG0207050]

なぜろっこんから起こるけん もん かく の働きがしんじちかくであると思うのか?

云何復名覺、聞、知、見? [SG0207051]

ゆえに、いまお前が自分、私及び世間の十種類の衆しょう らんせいたいせい湿しっしょうしょうゆうしょくしょくゆうそうそう・非ゆうそう・非そう)が見られることはすべて『見の病』である。

是故汝今見我及汝并諸世間十類眾生,皆即見眚;[SG0207052]

かくしょうの働きは『見の病』ではなく、だから、けん もん かく の働きと違うのだ。

非見眚者,彼見真精性,非眚者,故不名見。[SG0207053]


アーナンダよ! どうぶんもうけんにおいての一人の目のしょうがい者をべつごうもうけんにおいての一国の人々と対照すると、目のしょうがい者の見た光の輪はこうしょうによって起こるもうけんである。

阿難! 如彼眾生同分妄見,例彼妄見別業一人,一病目人同彼一國。彼見圓影,眚妄所生。[SG0207054]

一方で、国土に出現する不吉な現象は国民の共同の業力によって起こるもうけんである。

此眾同分所現不祥,同見業中瘴惡所起,[SG0207055]

いずれも以来の『見の病』によって現れるものだ。

俱是無始見妄所生。[SG0207056]

みょうめいの心はけん もん かく など妄覚を起こし、エンダイの三千の洲・四大海・シャ世界・じっぽうの国土としゅじょうはすべてそれらの妄覚のごうによるしょうめつする幻影にすぎない。

例閻浮提三千洲中,兼四大海娑婆世界,并洎十方諸有漏國及諸眾生,同是覺明無漏妙心,見、聞、覺、知虛妄病緣、和合妄生,和合妄死。[SG0207057]

もし種々のごうと非ごうはな ることができれば、しょうこんげんを断ち切ることができ、しょうめつえんまんだいの性と、しょうじょうな真心は常に現れていることになるのだ。

若能遠離諸和合緣及不和合,則復滅除諸生死因;圓滿菩提不生滅性,清淨本心本覺常住。[SG0207058]



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