【楞厳経】巻八
六種の地獄の交報
では、六種の交報とは何だろうか? アーナンダよ!
云何六報? 阿難! [SG0806001]
すべての業は六識に起因し、その報いは六根を通じて受ける。さまざまな悪業が互いに交わって六種の交報となる。
一切眾生六識造業,所招惡報從六根出。云何惡報從六根出? [SG0806002]
一つ目は、眼識の悪業に起因する交報。
一者、見報招引惡果。[SG0806003]
眼識は悪業を作り、他の識も眼識に影響されて悪業を作る。そして、命が尽きる時、まず猛火が十方に満ちているのを目にする。
此見業交,則臨終時,先見猛火滿十方界。[SG0806004]
そして亡者の魂は煙に乗って無間地獄へ落ち入る。
亡者神識飛墜乘煙,入無間獄。[SG0806005]
そこで、二種の情況が発生する。
發明二相:[SG0806006]
一つ目は、光が現れ、さまざまな怖いものを目にする。亡者は無量の恐怖に襲われる。
一者、明見,則能遍見種種惡物,生無量畏。[SG0806007]
二つ目は、あるいは真っ暗闇に包まれて何も見えない。亡者は無量の恐慌に陥る。
二者、暗見,寂然不見,生無量恐。[SG0806008]
さらに、眼識の業は他の業と交わっていろいろな報いとなる。
如是見火:[SG0806009]
耳識の業と交われば、亡者は煮えたぎる湯や溶銅(溶けた銭貨)の中で煮られ、その沸き立つ音が絶えず聞こえる。
燒聽,能為鑊湯、洋銅;[SG0806010]
鼻識の業と交われば、黒煙や紫の炎が亡者の鼻を突く。
燒息,能為黑烟、紫焰;[SG0806011]
舌識の業と交われば、亡者は真っ赤に焼けた鉄丸や溶けた鉄を呑ませられる。
燒味,能為燋丸、鐵糜;[SG0806012]
身識の業と交われば、亡者は高熱の灰や燃え盛る炭に臥させられる。
燒觸,能為熱灰、鑪炭;[SG0806013]
意識の業と交われば、強風が猛火を吹き上げ、火花が十方に飛び散る。
燒心,能生星火迸灑,煽鼓空界。[SG0806014]
二つ目は、耳識の悪業に起因する交報。
二者、聞報招引惡果。[SG0806015]
耳識は悪業を作り、他の識も耳識に影響されて悪業を作る。そして、命が尽きる時、まず大波が天地を吞み込むのを目にする。
此聞業交,則臨終時,先見波濤沒溺天地。[SG0806016]
そして亡者の魂は激しい水流に押し流され、無間地獄へ落ち入る。
亡者神識降注乘流,入無間獄。[SG0806017]
そこで、二種の情況が発生する。
發明二相:[SG0806018]
一つ目は、罵声が絶えず聞こえ、亡者の心が乱れている。
一者、開聽,聽種種鬧,精神愗亂。[SG0806019]
二つ目は、あるいは不気味な静寂に包まれ、魂は底知れぬ孤独と憂鬱に沈む。
二者、閉聽,寂無所聞,幽魄沈沒。[SG0806020]
さらに、耳識の業は他の業と交わっていろいろな報いとなる。
如是聞波:[SG0806021]
耳識の業のみであれば、呵責や詰問の声が絶えず聞こえる。
注聞,則能為責、為詰;[SG0806022]
眼識の業と交われば、稲妻が落ち、雷鳴が轟き、毒気が湧く。
注見,則能為雷、為吼、為惡毒氣;[SG0806023]
鼻識の業と交われば、雨が降り、霧がかかり、亡者の身が毒虫に食い荒らされる。
注息,則能為雨、為霧,灑諸毒虫周滿身體;[SG0806024]
舌識の業と交われば、亡者は膿や血など不浄を飲ませられる。
注味,則能為膿、為血,種種雜穢;[SG0806025]
身識の業と交われば、猛獣や悪鬼に襲われ、あるいは糞尿の海に溺れる。
注觸,則能為畜、為鬼、為𡱁、為尿;[SG0806026]
意識の業と交われば、雷や雹が降り注ぎ、亡者の魂を打ち砕く。
注意,則能為電、為雹,摧碎心魄。[SG0806027]
三つ目は、鼻識の悪業に起因する交報。
三者、嗅報招引惡果。[SG0806028]
鼻識は悪業を作り、他の識も鼻識に影響されて悪業を作る。そして、命が尽きる時、まず毒気が遠近に満ちるのを目にする。
此嗅業交,則臨終時,先見毒氣充塞遠近。[SG0806029]
亡者の魂は地中へ沈み込み、無間地獄へ落ち入る。
亡者神識從地涌出,入無間獄。[SG0806030]
そこで、二種の情況が発生する。
發明二相:[SG0806031]
一つ目は、鼻が通り、さまざまな悪い気が鼻を突き、強い不快感に襲われる。
一者、通聞,被諸惡氣,薰極心擾。[SG0806032]
二つ目は、あるいは鼻が詰まり、悶絶して倒れる。
二者、塞聞,氣掩不通,悶絕於地。[SG0806033]
さらに、鼻識の業が他の業と交わっていろいろな報いとなる。
如是嗅氣:衝息,則能為質、為履;[SG0806034]
眼識の業と交われば、亡者の目は火や松明で焼かれる。
衝見,則能為火、為炬;[SG0806035]
耳識の業と交われば、亡者は沸騰する大海に溺れる。
衝聽,則能為沒、為溺、為洋、為沸;[SG0806036]
舌識の業と交われば、亡者は腐った魚や臭い汁を飲ませられる。
衝味,則能為餒、為爽;[SG0806037]
身識の業と交われば、亡者の身は腐乱して巨大な肉の山となり、無数の虫に食い荒らされる。
衝觸,則能為綻、為爛、為大肉山,有百千眼無量𠯗食;[SG0806038]
意識の業と交われば、砂嵐が起こり、瘴気がかかり、亡者の身が砂石に打ち砕かれる。
衝思,則能為灰、為瘴、為飛砂、礰擊碎身體。[SG0806039]
四つ目は、舌識の悪業に起因する交報。
四者、味報招引惡果。[SG0806040]
舌識は悪業を作り、他の識も舌識に影響されて悪業を作る。そして、命が尽きる時、まず鉄の網と猛火が世界を覆うのを目にする。
此味業交,則臨終時,先見鐵網猛炎熾烈周覆世界。[SG0806041]
亡者の魂は鉄の網を突き抜け、逆さまに吊られたまま無間地獄へ落ち入る。
亡者神識下透挂網倒懸其頭,入無間獄。[SG0806042]
そこで、二種の情況が発生する。
發明二相:[SG0806043]
一つ目は、吸う息が極寒の氷となり、身を凍結させる。
一者、吸氣,結成寒氷,凍裂身肉。[SG0806044]
二つ目は、あるいは吐く息が猛火となり、骨や髄まで焼き尽くす。
二者、吐氣,飛為猛火,燋爛骨髓。[SG0806045]
さらに、舌識の業が他の業と交わっていろいろな報いとなる。
如是嘗味:歷嘗,則能為承、為忍;[SG0806046]
眼識の業と交われば、亡者の目は真っ赤に焼けた金石で焼かれる。
歷見,則能為然金石;[SG0806047]
耳識の業と交われば、亡者は鋭い兵器に斬られる。
歷聽,則能為利兵刃;[SG0806048]
鼻識の業と交われば、巨大な鉄の檻が国土を閉じ込める。
歷息,則能為大鐵籠彌覆國土;[SG0806049]
身識の業と交われば、亡者は弓や矢や弩に射られる。
歷觸,則能為弓、為箭、為弩、為射;[SG0806050]
意識の業と交われば、高熱で溶けた鉄が雨のように降り注ぐ。
歷思,則能為飛熱鐵從空雨下。[SG0806051]
五つ目は、身識の悪業に起因する交報。
五者、觸報招引惡果。[SG0806052]
身識は悪業を作り、他の識も身識に影響されて悪業を作る。そして、命が尽きる時、まず大山が四方から押し寄せてくるのを目にする。逃げ場はない。
此觸業交,則臨終時,先見大山四面來合無復出路。[SG0806053]
巨大な鉄の城が現れ、火を吐く蛇や犬・虎・狼・獅子などの猛獣が出現する。
亡者神識見大鐵城,火蛇、火狗、虎、狼、師子,[SG0806054]
牛頭の獄卒と馬頭の羅刹が槍や矛を手にし、亡者を城内へ追い立て、無間地獄へ送る。
牛頭獄卒、馬頭羅剎手執槍矟驅入城門,向無間獄。[SG0806055]
そこで、二種の情況が発生する。
發明二相:[SG0806056]
一つ目は、大山が四方から迫ってきて亡者を押し潰し、骨・血・肉が四方に飛び散る。
一者、合觸,合山逼體,骨肉血潰。[SG0806057]
二つ目は、あるいは身が刀・剣に刺され、内臓まで貫かれる。
二者、離觸,刀、劍觸身,心、肝屠裂。[SG0806058]
地獄には道・役所の門・裁判所などの施設が見える。身識の業が他の業と交わっていろいろな報いとなる。
如是合觸:歷觸,則能為道、為觀、為廳、為案;[SG0806059]
眼識の業と交われば、亡者は焚刑を受ける。
歷見,則能為燒、為爇;[SG0806060]
耳識の業と交われば、亡者は激突・打撃・突き刺し・射撃の刑を受ける。
歷聽,則能為撞、為擊、為剚、為射;[SG0806061]
鼻識の業と交われば、亡者は袋詰め・布包み・拷問・縛りなどの刑を受ける。
歷息,則能為括、為袋、為拷、為縛;[SG0806062]
舌識の業と交われば、亡者は舌を耕し、挟み、斬り、断ち切る刑を受ける。
歷嘗,則能為耕、為鉗、為斬、為截;[SG0806063]
意識の業と交われば、亡者は飛び下り、飛び上がり、焼き、炙る刑を受ける。
歷思,則能為墜、為飛、為煎、為炙。[SG0806064]
六つ目は、意識の悪業に起因する交報。
六者、思報招引惡果。[SG0806065]
意識は悪業を作り、他の識も意識に影響されて悪業を作る。そして、命が尽きる時、まず、悪い風が国土を襲うのを目にする。
此思業交,則臨終時,先見惡風吹壞國土。[SG0806066]
亡者の魂は空へ吹き上げられ、風に乗って無間地獄へ落ち入る。
亡者神識被吹上空,旋落乘風墮無間獄。[SG0806067]
その後、二種の情況が発生する。
發明二相:[SG0806068]
一つ目は、心が迷いすぎて恐慌に陥り、亡者は慌てて走り回る。
一者、不覺,迷極則荒,奔走不息。[SG0806069]
二つ目は、現況がはっきりと分かるゆえ、焼かれるように耐えがたい苦痛に苛まれる。
二者、不迷,覺知則苦,無量煎燒痛深難忍。[SG0806070]
さらに、意識の業が他の業と交わっていろいろな報いとなる。
如是邪思:結思,則能為方、為所;[SG0806071]
眼識の業と交われば、業鏡が出現して亡者の罪行を映し出す。
結見,則能為鑒、為證;[SG0806072]
耳識の業と交われば、亡者は落石・洪水・豪雪・地割れ・濃霧などに襲われる。
結聽,則能為大合石、為氷、為霜、為土、為霧;[SG0806073]
鼻識の業と交われば、亡者は燃える車・燃える船・燃える檻に閉じ込められる。
結息,則能為大火車、火船、火檻;[SG0806074]
舌識の業と交われば、亡者は苦しすぎて絶叫したり、嘆息したり、悲鳴をあげたりし続ける。
結嘗,則能為大叫喚、為悔、為泣;[SG0806075]
身識の業と交われば、亡者の身はにわかに大きくなり、にわかに小さくなり、にわかに横たわり、にわかに寝そべり、一日に一万回死んでは生き返り、生き返っては死ぬことを繰り返す。
結觸,則能為大、為小、為一日中萬生萬死、為偃、為仰。[SG0806076]
アーナンダよ! これらは地獄に落ち入る十種の因と六種の交報であり、
阿難! 是名地獄十因、六果,[SG0806077]
すべては衆生が無明を起こして作るものである。
皆是眾生迷妄所造。[SG0806078]
もし衆生が悪事の限りを尽くせば、死後には阿鼻地獄に落ち入り、無量劫の間に果てなき苦しみを受け続ける。
若諸眾生惡業圓造,入阿鼻獄,受無量苦,經無量劫。[SG0806079]
六識ごとに悪業を作り、他の識も同時に影響されて悪業を作る。この場合、八無間地獄に落ち入る。
六根各造,及彼所作兼境、兼根,是人則入八無間獄。[SG0806080]
三業(身業・口業・意業)と三悪(殺生・偸盗・邪淫)を全部犯せば、十八地獄に落ち入る。
身、口、意三,作殺、盜、婬,是人則入十八地獄。[SG0806081]
三業と三悪のいくつかを犯せば、三十六地獄に落ち入る。
三業不兼,中間或為一殺、一盜,是人則入三十六地獄。[SG0806082]
ただ一識が一種の悪を犯せば、百八地獄に落ち入る。
見見一根單犯一業,是人則入一百八地獄。[SG0806083]
そこで、衆生は別々に悪業を作るが、業報によって同じ地獄に落ち入る。
由是眾生別作別造,於世界中入同分地。[SG0806084]
すべては妄想の中で発生するものであり、本来真実ではないのだ。
妄想發生,非本來有。[SG0806085]
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