【楞厳経】巻五
十二、眼識
シャーリプトラ尊者が席から立ち上がり、お釈迦様に頂礼して言いました。
舍利弗即從座起,頂禮佛足而白佛言:[SG0504001]
「私は多くの劫の前から眼識がすでに清浄になり、そのまま生まれ変わった回数が恒河沙数の如し。
「我曠劫來心見清淨,如是受生如恒河沙,[SG0504002]
世間と出世間の種々の変化を一見して障害なく理解できます。
世出世間種種變化,一見則通,獲無障礙。[SG0504003]
ある日、道で迦葉波三兄弟に出会い、彼らから世尊様のおっしゃる因縁の理を拝聴し、心が果てのないことを悟りました。
我於路中逢迦葉波兄弟相逐,宣說因緣,悟心無際,[SG0504004]
そして、世尊様のもとで出家し、
從佛出家。[SG0504005]
眼識がさらに円明になり、覚性が現れ、大無畏(恐れることがないこと)の心を獲得し、そして私は阿羅漢の境地に達しました。
見覺明圓,得大無畏,成阿羅漢,[SG0504006]
世尊様の高弟である私は、まるで如来様の御口と仏法から生まれた者のようでございます。
為佛長子。從佛口生,從法化生。[SG0504007]
世尊様が円通の法門をお尋ねになるなら、
佛問圓通,[SG0504008]
私の修行によれば、眼識が円明となって智慧の光が現れ、その光が極致に達した時、私は如来様のご知見に入りました。これが最もすぐれた円通の法門であると存じます。」
如我所證,心見發光,光極知見,斯為第一!」[SG0504009]
十三、耳識
普賢菩薩が席から立ち上がり、お釈迦様に頂礼して言いました。
普賢菩薩即從座起,頂禮佛足而白佛言:[SG0504010]
「私はすでに恒河沙数の如来様のもとで法王子として衆生を導いてまいりました。
「我已曾與恒沙如來為法王子,[SG0504011]
十方の如来様は皆、菩薩の資質ある弟子たちに普賢行(普賢の行願)をご教授になります。その名は私の名に因みます。
十方如來教其弟子菩薩根者修普賢行,從我立名。[SG0504012]
世尊様。私は心を通じて衆生の心の声を聞き、その心を判別します。
世尊! 我用心聞分別眾生所有知見,[SG0504013]
もし恒河沙数の世界の外において、衆生が心を起こして普賢行を志すならば、私は六牙の白象に乗り、百千の分身を現してその地へ赴きます。
若於他方恒沙界外,有一眾生心中發明普賢行者,我於爾時乘六牙象,分身百千皆至其處。[SG0504014]
たとえその人が罪深く、私の姿を見ることができなくても、私は陰ながらその者の頭を撫で、守護し、励まし、成就させます。
縱彼障深未得見我,我與其人暗中摩頂,擁護安慰,令其成就。[SG0504015]
世尊様が円通の法門をお尋ねになるなら、
佛問圓通,[SG0504016]
私の経験によれば、心の聴は円明となって智慧の光が現れ、声を自在に判別することができます。これが最もすぐれた円通の法門であると存じます。」
我說本因,心聞發明,分別自在,斯為第一!」[SG0504017]
十四、鼻識
スンダラ・ナンダ(孫陀羅難陀)尊者が席から立ち上がり、お釈迦様に頂礼して言いました。
孫陀羅難陀即從座起,頂禮佛足而白佛言:[SG0504018]
「私は出家して世尊様のもとで修行を始めた頃、戒律を守っておりましたが、心が常に乱れて三摩地に入ることができかねました。
「我初出家從佛入道,雖具戒律,於三摩提心常散動,[SG0504019]
それゆえ、無漏の境地に達することができかねました。
未獲無漏。[SG0504020]
世尊様は私とカウシュティラに、鼻先の白光を観想する修行を教えてくださいました。
世尊教我及俱絺羅觀鼻端白。[SG0504021]
私は三七日間一心に観想を続けると、出入りする息が煙のように見えました。
我初諦觀,經三七日,見鼻中氣出入如煙,[SG0504022]
光明は身心の内に現れて世界に行き渡り、すべては瑠璃のように透徹し、清浄に見えました。
身心內明,圓洞世界,遍成虛淨,猶如瑠璃。[SG0504023]
その後、煙の相は徐々に消え、息は純白となり、心は開き、煩悩は尽きました。
煙相漸銷,鼻息成白,心開漏盡;[SG0504024]
さらに、出入りする息はすべて光明となり、十方の世界を照らしました。
諸出入息化為光明,照十方界,[SG0504025]
こうして私は阿羅漢の境地に達しました。
得阿羅漢,[SG0504026]
世尊様は私にご授記を賜り、必ず菩提を得ることを保証してくださいました。
世尊記我,當得菩提。[SG0504027]
世尊様が円通の法門をお尋ねになるなら、
佛問圓通,[SG0504028]
私が息の相を滅却すると、やがて智慧の光が現れ、
我以銷息,息久發明,[SG0504029]
その光明は円満となり、煩悩は尽きました。これが最もすぐれた円通の法門であると存じます。」
明圓滅漏,斯為第一!」[SG0504030]
十五、舌識
プールナ・マイトラーヤニープトラ尊者が席から立ち上がり、お釈迦様に頂礼して言いました。
富樓那彌多羅尼子即從座起,頂禮佛足而白佛言:[SG0504031]
「私は多くの劫の前からすでに無碍の弁才を獲得し、苦・空の道理を広め、実相に通じておりました。
「我曠劫來辯才無礙,宣說苦、空,深達實相,[SG0504032]
恒河沙数の如来様がお説きになった秘密の法門さえ、私はうまく群衆に講演することができ、恐れることがございません。
如是乃至恒沙如來祕密法門,我於眾中微妙開示,得無所畏。[SG0504033]
世尊様は私の弁才をお認めになり、音声によって仏法を広める法門を教えてくださいました。
世尊知我有大辯才,以音聲輪教我發揚。[SG0504034]
それで、私は世尊様のお力となり、法輪を転じ、私の説法はまるで獅子の咆哮のようでございます。
我於佛前助佛轉輪。因師子吼[SG0504035]
説法によって私は阿羅漢の境地に達し、
成阿羅漢,[SG0504036]
世尊様は、私が『説法第一』の弟子であると称賛してくださいました。
世尊印我,說法無上。[SG0504037]
世尊様が円通の法門をお尋ねになるなら、
佛問圓通,[SG0504038]
私は法音をもって悪魔を降伏させ、煩悩を断ち切ります。これが最もすぐれた円通の法門であると存じます。」
我以法音降伏魔怨,銷滅諸漏,斯為第一!」[SG0504039]
十六、身識
ウパーリ尊者が席から立ち上がり、お釈迦様に頂礼して言いました。
優波離即從座起,頂禮佛足而白佛言:[SG0504040]
「かつて、私は世尊様につき従い、王城を離れて出家しました。
「我親隨佛踰城出家,[SG0504041]
その後の六年間、世尊様は種々の苦行をお修めになり、悪魔を降伏させなさり、外道の説をご論破になり、
親觀如來六年勤苦,親見如來降伏諸魔、制諸外道,[SG0504042]
また、世間の種々の欲望や煩悩をお断ち切りになったさまを、私はすべて目の当たりにいたしました。
解脫世間貪欲諸漏。[SG0504043]
世尊様は私に三千の威儀・八万の細行(微細な行為)・性業(犯行)・遮業(仏教の戒律に背く行為)を教えてくださいました。
承佛教戒,如是乃至三千威儀、八萬微細、性業、遮業,[SG0504044]
私はそれらの戒律をすべて清浄に守り続け、その結果、身心が寂滅に至り、私は阿羅漢の境地に達しました。
悉皆清淨。身心寂滅,成阿羅漢。[SG0504045]
戒律を守ることについて、私は僧団の模範でございます。
我是如來眾中綱紀,[SG0504046]
世尊様は、私が『持戒第一』の弟子であると称賛してくださいました。
親印我心,持戒修身眾推無上。[SG0504047]
世尊様が円通の法門をお尋ねになるなら、
佛問圓通,[SG0504048]
私はまず身を律することによって身が自在に至り、
我以執身身得自在,[SG0504049]
次いで心を徐々に律することによって心が無碍に至り、
次第執心心得通達,[SG0504050]
そして、身心が解放されました。これが最もすぐれた円通の法門であると存じます。」
然後身心一切通利,斯為第一!」[SG0504051]
十七、意識
マハー・マウドガリヤーヤナ尊者が席から立ち上がり、お釈迦様に頂礼して言いました。
大目犍連即從座起,頂禮佛足而白佛言:[SG0504052]
「かつて、私が道で托鉢をしていた折、迦葉波三兄弟――ウルヴェーラ、ナディー、ガヤーに出会い、
「我初於路乞食,逢遇優樓頻螺、伽耶、那提三迦葉波,[SG0504053]
皆から世尊様のおっしゃる因縁の奥深い理を拝聴しました。
宣說如來因緣深義。[SG0504054]
その瞬間、私は即座に悟りを開き、大無碍の境地に達しました。
我頓發心,得大通達。[SG0504055]
私は世尊様から賜ったご袈裟を身に纏い、剃髪して出家しました。
如來惠我袈裟著身,鬚髮自落。[SG0504056]
私は神通の力によって十方の世界に自在に伺うことができ、僧団で『神通第一』と称賛され、私は阿羅漢の境地に達したのです。
我遊十方得無罣礙,神通發明推為無上,成阿羅漢。[SG0504057]
世尊様のみならず、十方の如来もまた私の神通の力が円明で、清浄で、自在で、無畏であると称賛してくださいました。
寧唯世尊,十方如來歎我神力,圓明清淨自在無畏。[SG0504058]
世尊様が円通の法門をお尋ねになるなら、
佛問圓通,[SG0504059]
私は虚妄の意識を転じて湛然な真性に戻し、心に光明が現れ、砂土が沈殿して水が清くなるようになりました。
我以旋湛心光發宣,如澄濁流久成清瑩,[SG0504060]
これが最もすぐれた円通の法門であると存じます。」
斯為第一!」[SG0504061]
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