阿閦仏
【維摩経】見阿閦仏品
妙喜世界
その時、皆は妙喜世界の無動如来・菩薩たち・声聞たちに謁見するのを熱望しました。
是時大眾渴仰,欲見妙喜世界無動如來,及其菩薩、聲聞之眾。[VK1203001]
お釈迦様は皆の思いを察知し、維摩詰に言いました。
佛知一切眾會所念,告維摩詰言:[VK1203002]
「善良な男子よ! この集会に出席した人々のために、妙喜世界の無動如来・菩薩たち・声聞たちをこの世界に招こう。
「善男子!為此眾會,現妙喜國無動如來,及諸菩薩、聲聞之眾,[VK1203003]
皆は会いたがっている。」
眾皆欲見。」[VK1203004]
そこで、維摩詰はこう思いました。
於是維摩詰心念:[VK1203005]
「私はこのまま座って、
「吾當不起于座,[VK1203006]
妙喜世界の鉄囲山・川・
接妙喜國鐵圍山川、[VK1203007]
渓谷・江・河・大海・泉・
溪谷江河、大海泉源、[VK1203008]
須弥山々・日・月・星団・
須彌諸山及日月星宿、[VK1203009]
天龍八部衆・梵天などの天の宮殿・
天龍鬼神、梵天等宮,[VK1203010]
菩薩たち・声聞たち・
并諸菩薩、聲聞之眾,[VK1203011]
町・村・集落・老若男女・
城邑聚落、男女大小[VK1203012]
さらに無動如来様・
乃至無動如來,[VK1203013]
菩提樹・いろいろな美しい蓮花・
及菩提樹、諸妙蓮華,[VK1203014]
十方の世界で仏事が行える者もこの世界に移動させよう。
能於十方作佛事者——[VK1203015]
また、妙喜世界には、三本の宝で飾られた階段があり、閻浮提から忉利天に繋がっている。
三道寶階從閻浮提至忉利天,[VK1203016]
天人たちはそれらの階段を通じて地面に下りることができ、
以此寶階諸天來下,[VK1203017]
皆はそれを利用して無動如来に謁見し、仏法を聴くのだ。
悉為禮敬無動如來,聽受經法;[VK1203018]
閻浮提の人々も階段を通じて、忉利天に上り、天人たちに会うことができるのだ。
閻浮提人亦登其階,上昇忉利,見彼諸天:[VK1203019]
妙喜世界にはそのように無量の功徳が備わっているのだ。
妙喜世界成就如是無量功德——[VK1203020]
色究竟天から海底まで、私は陶工が轆轤から粘土を切り取るかのように、右手で妙喜世界をこの世界に運び入れよう。
上至阿迦膩吒天,下至水際,以右手斷取,如陶家輪,入此世界,[VK1203021]
華鬘(仏殿に懸ける荘厳具)を持ち上げるように人々に妙喜世界を見せよう。」
猶持華鬘,示一切眾。」[VK1203022]
維摩詰はそう思ってから、三昧に入って神通力を発動し、
作是念已,入於三昧現神通力,[VK1203023]
右手で妙喜世界を取って、この世界に運び入れたのです。
以其右手斷取妙喜世界,置於此土。[VK1203024]
その時、妙喜世界では、神通力を持っている菩薩たち・声聞たち・天人たち・人々が皆さけんでいました。
彼得神通菩薩及聲聞眾,并餘天、人俱發聲言:[VK1203025]
「なんと! 世尊様! 誰がこの世界を取って、運び去っているのですか?
「唯然,世尊!誰取我去,[VK1203026]
どうかお助けください!」
願見救護。」[VK1203027]
無動如来は言いました。
無動佛言:[VK1203028]
「私ではなく、これは維摩詰の神通の変化なのだ。」
「非我所為,是維摩詰神力所作。」[VK1203029]
神通力を持っていない者は、自分が誰かに運ばれていることに気づいていませんでした。
其餘未得神通者,不覺不知己之所往。[VK1203030]
妙喜世界は、娑婆世界に入りましたが、土地が増減することはなく、
妙喜世界,雖入此土而不增減,[VK1203031]
両方の世界とは込むことがなく、いつもどおりだったのです。
於是世界亦不迫隘,如本無異。[VK1203032]
その時、お釈迦様は集会の人々に言いました。
爾時釋迦牟尼佛告諸大眾:[VK1203033]
「ほら、皆さん! あちらは妙喜世界の無動如来だ!
「汝等且觀妙喜世界無動如來,[VK1203034]
その仏土は荘厳であり、菩薩は身心が清浄であり、
其國嚴飾,菩薩行淨,[VK1203035]
弟子の業報(過去に行った善悪の行為による報い)は潔白なのだ。」
弟子清白。」[VK1203036]
皆は返答しました。
皆曰:[VK1203037]
「はい、よく拝見しました!」
「唯然已見。」[VK1203038]
お釈迦様:
佛言:[VK1203039]
「もし菩薩がそのような清浄な仏土を得ることを欲するなら、
「若菩薩欲得如是清淨佛土,[VK1203040]
無動如来の修行の道を学ぶべきだ。」
當學無動如來所行之道。」[VK1203041]
妙喜世界が現れた時、娑婆世界の十四那由他(きわめて大きな数量)の人々は、
現此妙喜國時,娑婆世界十四那由他人,[VK1203042]
阿耨多羅三藐三菩提心を発し、
發阿耨多羅三藐三菩提心,[VK1203043]
皆妙喜仏国に転生することを望みました。
皆願生於妙喜佛土。[VK1203044]
お釈迦様は皆に授記を与えました。
釋迦牟尼佛即記之曰:[VK1203045]
「皆は将来必ず妙喜仏国に転生するであろう。」
「當生彼國。」[VK1203046]
そして、娑婆世界に現れる目的を達成した後、妙喜世界はもとのところに戻りました。
時妙喜世界於此國土所應饒益其事訖已,還復本處,[VK1203047]
集会の人々は皆その光景を見ました。
舉眾皆見。[VK1203048]
お釈迦様はシャーリプトラに聞きました。
佛告舍利弗:[VK1203049]
「お前は妙喜世界と無動如来を見ただろう?」
「汝見此妙喜世界及無動佛不?」[VK1203050]
シャーリプトラ:
「はい、よく拝見しました。
「唯然已見,[VK1203051]
世尊様! すべての衆生は無動如来様のように清浄な仏土を得ますように。
世尊!願使一切眾生得清淨土,如無動佛;[VK1203052]
また、維摩詰様のように不思議な神通力を習得しますように。
獲神通力,如維摩詰。[VK1203053]
世尊様! 私どもはとても幸運です。
世尊!我等快得善利,[VK1203054]
無動如来様に謁見し、供養する機会を得られました。
得見是人,親近供養。[VK1203055]
他の衆生は、もし現在あるいは如来のご入滅後の時代に、
其諸眾生,若今現在,若佛滅後,[VK1203056]
この経典(維摩経)を聴くことができれば、その人もとても幸運でしょう。
聞此經者,亦得善利;[VK1203057]
ましてや、この経典を信じたり、学んだり、覚えたり、読んだり、
況復聞已信解、受持、讀誦、[VK1203058]
他人に解説したり、教義どおりに修行したりする人はなおさらです。
解說,如法修行?[VK1203059]
もし誰かがこの経典を得たら、その人は仏法の中の秘蔵を獲得できます。
若有手得是經典者,便為已得法寶之藏;[VK1203060]
誰かがこの経典を読んだり、理解したり、教義を実行したりすれば、
若有讀誦解釋其義,如說修行,[VK1203061]
諸如来様は常にその人を護念(心にかけて守ること)されます。
即為諸佛之所護念;[VK1203062]
誰かがその人を供養すれば、如来様を供養することに等しいのです。
其有供養如是人者,當知即為供養於佛;[VK1203063]
誰かがこの経典を書き写せば、その人の部屋には如来様がおられます。
其有書持此經卷者,當知其室即有如來;[VK1203064]
もし誰かがこの経典を聴いて心が喜びにあふれれば、その人はきっと一切智を得るでしょう。
若聞是經能隨喜者,斯人即為取一切智;[VK1203065]
もしこの経典を信じたり、他人に説き聞かせたりすれば、それがたとえ一段の四行詩だけでも、
若能信解此經,乃至一四句偈,為他說者,[VK1203066]
その人はすでに阿耨多羅三藐三菩提の御授記を得たのです。」
當知此人即是受阿耨多羅三藐三菩提記。」[VK1203067]
【維摩経】見阿閦仏品
妙喜世界
その時、皆は妙喜世界の無動如来・菩薩たち・声聞たちに謁見するのを熱望しました。
是時大眾渴仰,欲見妙喜世界無動如來,及其菩薩、聲聞之眾。[VK1203001]
お釈迦様は皆の思いを察知し、維摩詰に言いました。
佛知一切眾會所念,告維摩詰言:[VK1203002]
「善良な男子よ! この集会に出席した人々のために、妙喜世界の無動如来・菩薩たち・声聞たちをこの世界に招こう。
「善男子!為此眾會,現妙喜國無動如來,及諸菩薩、聲聞之眾,[VK1203003]
皆は会いたがっている。」
眾皆欲見。」[VK1203004]
そこで、維摩詰はこう思いました。
於是維摩詰心念:[VK1203005]
「私はこのまま座って、
「吾當不起于座,[VK1203006]
妙喜世界の鉄囲山・川・
接妙喜國鐵圍山川、[VK1203007]
渓谷・江・河・大海・泉・
溪谷江河、大海泉源、[VK1203008]
須弥山々・日・月・星団・
須彌諸山及日月星宿、[VK1203009]
天龍八部衆・梵天などの天の宮殿・
天龍鬼神、梵天等宮,[VK1203010]
菩薩たち・声聞たち・
并諸菩薩、聲聞之眾,[VK1203011]
町・村・集落・老若男女・
城邑聚落、男女大小[VK1203012]
さらに無動如来様・
乃至無動如來,[VK1203013]
菩提樹・いろいろな美しい蓮花・
及菩提樹、諸妙蓮華,[VK1203014]
十方の世界で仏事が行える者もこの世界に移動させよう。
能於十方作佛事者——[VK1203015]
また、妙喜世界には、三本の宝で飾られた階段があり、閻浮提から忉利天に繋がっている。
三道寶階從閻浮提至忉利天,[VK1203016]
天人たちはそれらの階段を通じて地面に下りることができ、
以此寶階諸天來下,[VK1203017]
皆はそれを利用して無動如来に謁見し、仏法を聴くのだ。
悉為禮敬無動如來,聽受經法;[VK1203018]
閻浮提の人々も階段を通じて、忉利天に上り、天人たちに会うことができるのだ。
閻浮提人亦登其階,上昇忉利,見彼諸天:[VK1203019]
妙喜世界にはそのように無量の功徳が備わっているのだ。
妙喜世界成就如是無量功德——[VK1203020]
色究竟天から海底まで、私は陶工が轆轤から粘土を切り取るかのように、右手で妙喜世界をこの世界に運び入れよう。
上至阿迦膩吒天,下至水際,以右手斷取,如陶家輪,入此世界,[VK1203021]
華鬘(仏殿に懸ける荘厳具)を持ち上げるように人々に妙喜世界を見せよう。」
猶持華鬘,示一切眾。」[VK1203022]
維摩詰はそう思ってから、三昧に入って神通力を発動し、
作是念已,入於三昧現神通力,[VK1203023]
右手で妙喜世界を取って、この世界に運び入れたのです。
以其右手斷取妙喜世界,置於此土。[VK1203024]
その時、妙喜世界では、神通力を持っている菩薩たち・声聞たち・天人たち・人々が皆さけんでいました。
彼得神通菩薩及聲聞眾,并餘天、人俱發聲言:[VK1203025]
「なんと! 世尊様! 誰がこの世界を取って、運び去っているのですか?
「唯然,世尊!誰取我去,[VK1203026]
どうかお助けください!」
願見救護。」[VK1203027]
無動如来は言いました。
無動佛言:[VK1203028]
「私ではなく、これは維摩詰の神通の変化なのだ。」
「非我所為,是維摩詰神力所作。」[VK1203029]
神通力を持っていない者は、自分が誰かに運ばれていることに気づいていませんでした。
其餘未得神通者,不覺不知己之所往。[VK1203030]
妙喜世界は、娑婆世界に入りましたが、土地が増減することはなく、
妙喜世界,雖入此土而不增減,[VK1203031]
両方の世界とは込むことがなく、いつもどおりだったのです。
於是世界亦不迫隘,如本無異。[VK1203032]
その時、お釈迦様は集会の人々に言いました。
爾時釋迦牟尼佛告諸大眾:[VK1203033]
「ほら、皆さん! あちらは妙喜世界の無動如来だ!
「汝等且觀妙喜世界無動如來,[VK1203034]
その仏土は荘厳であり、菩薩は身心が清浄であり、
其國嚴飾,菩薩行淨,[VK1203035]
弟子の業報(過去に行った善悪の行為による報い)は潔白なのだ。」
弟子清白。」[VK1203036]
皆は返答しました。
皆曰:[VK1203037]
「はい、よく拝見しました!」
「唯然已見。」[VK1203038]
お釈迦様:
佛言:[VK1203039]
「もし菩薩がそのような清浄な仏土を得ることを欲するなら、
「若菩薩欲得如是清淨佛土,[VK1203040]
無動如来の修行の道を学ぶべきだ。」
當學無動如來所行之道。」[VK1203041]
妙喜世界が現れた時、娑婆世界の十四那由他(きわめて大きな数量)の人々は、
現此妙喜國時,娑婆世界十四那由他人,[VK1203042]
阿耨多羅三藐三菩提心を発し、
發阿耨多羅三藐三菩提心,[VK1203043]
皆妙喜仏国に転生することを望みました。
皆願生於妙喜佛土。[VK1203044]
お釈迦様は皆に授記を与えました。
釋迦牟尼佛即記之曰:[VK1203045]
「皆は将来必ず妙喜仏国に転生するであろう。」
「當生彼國。」[VK1203046]
そして、娑婆世界に現れる目的を達成した後、妙喜世界はもとのところに戻りました。
時妙喜世界於此國土所應饒益其事訖已,還復本處,[VK1203047]
集会の人々は皆その光景を見ました。
舉眾皆見。[VK1203048]
お釈迦様はシャーリプトラに聞きました。
佛告舍利弗:[VK1203049]
「お前は妙喜世界と無動如来を見ただろう?」
「汝見此妙喜世界及無動佛不?」[VK1203050]
シャーリプトラ:
「はい、よく拝見しました。
「唯然已見,[VK1203051]
世尊様! すべての衆生は無動如来様のように清浄な仏土を得ますように。
世尊!願使一切眾生得清淨土,如無動佛;[VK1203052]
また、維摩詰様のように不思議な神通力を習得しますように。
獲神通力,如維摩詰。[VK1203053]
世尊様! 私どもはとても幸運です。
世尊!我等快得善利,[VK1203054]
無動如来様に謁見し、供養する機会を得られました。
得見是人,親近供養。[VK1203055]
他の衆生は、もし現在あるいは如来のご入滅後の時代に、
其諸眾生,若今現在,若佛滅後,[VK1203056]
この経典(維摩経)を聴くことができれば、その人もとても幸運でしょう。
聞此經者,亦得善利;[VK1203057]
ましてや、この経典を信じたり、学んだり、覚えたり、読んだり、
況復聞已信解、受持、讀誦、[VK1203058]
他人に解説したり、教義どおりに修行したりする人はなおさらです。
解說,如法修行?[VK1203059]
もし誰かがこの経典を得たら、その人は仏法の中の秘蔵を獲得できます。
若有手得是經典者,便為已得法寶之藏;[VK1203060]
誰かがこの経典を読んだり、理解したり、教義を実行したりすれば、
若有讀誦解釋其義,如說修行,[VK1203061]
諸如来様は常にその人を護念(心にかけて守ること)されます。
即為諸佛之所護念;[VK1203062]
誰かがその人を供養すれば、如来様を供養することに等しいのです。
其有供養如是人者,當知即為供養於佛;[VK1203063]
誰かがこの経典を書き写せば、その人の部屋には如来様がおられます。
其有書持此經卷者,當知其室即有如來;[VK1203064]
もし誰かがこの経典を聴いて心が喜びにあふれれば、その人はきっと一切智を得るでしょう。
若聞是經能隨喜者,斯人即為取一切智;[VK1203065]
もしこの経典を信じたり、他人に説き聞かせたりすれば、それがたとえ一段の四行詩だけでも、
若能信解此經,乃至一四句偈,為他說者,[VK1203066]
その人はすでに阿耨多羅三藐三菩提の御授記を得たのです。」
當知此人即是受阿耨多羅三藐三菩提記。」[VK1203067]