説法

【維摩経ゆいまきょう】香積仏品こうしゃくぶつほん

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　厳しい説法　　

そして、衆しゅ香こう仏国の菩ぼ薩さつは維ゆい摩ま詰きつに問いました。

彼諸菩薩問維摩詰：［VK1003001］

「では、釈シャ迦カ牟ム尼ニ世せ尊そん様は何の方法によって衆しゅ生じょうをご済さい度どになりますか？」

「今世尊釋迦牟尼以何說法？」［VK1003002］

維ゆい摩ま詰きつは答えました。

維摩詰言：［VK1003003］

「この仏土の衆しゅ生じょうはとても頑がん固こなので、衆しゅ生じょうを教きょう化かするのは難しいのです。

「此土眾生剛強難化，［VK1003004］

それゆえ、世せ尊そん様は厳しいことをお説きになり、これによって衆しゅ生じょうをご教きょう化かになります。

故佛為說剛強之語以調伏之。［VK1003005］

例えば、八はち難なんのこと・

言是地獄、是畜生、是餓鬼，是諸難處，［VK1003006］

愚かな者の転生のところ・

是愚人生處；［VK1003007］

    （身・口・意）

身の邪じゃ行ぎょう（不正な行為）と身の邪じゃ行ぎょうの報い・

是身邪行，是身邪行報；［VK1003008］

口の邪じゃ行ぎょうと口の邪じゃ行ぎょうの報い・

是口邪行，是口邪行報；［VK1003009］

意の邪じゃ行ぎょうと意の邪じゃ行ぎょうの報い・

是意邪行，是意邪行報；［VK1003010］

    （十悪）

殺せっ生しょう（生き物を殺すこと）と殺せっ生しょうの報い・

是殺生，是殺生報；［VK1003011］

偸ちゅう盗とう（盗むこと）と偸ちゅう盗とうの報い・

是不與取，是不與取報；［VK1003012］

邪じゃ淫いん（配偶者ではない者との性行為）と邪じゃ淫いんの報い・

是邪婬，是邪婬報；［VK1003013］

妄もう語ご（うそをつくこと）と妄もう語ごの報い・

是妄語，是妄語報；［VK1003014］

両りょう舌ぜつ（他人を仲違いさせること）と両りょう舌ぜつの報い・

是兩舌，是兩舌報；［VK1003015］

悪あっ口こう（人を悪く言うこと）と悪あっ口こうの報い・

是惡口，是惡口報；［VK1003016］

綺き語ご（無意味な言葉）と綺き語ごの報い・

是無義語，是無義語報；［VK1003017］

貪たん嫉しつ（貪たん欲よくと嫉妬ねた）と貪たん嫉しつの報い・

是貪嫉，是貪嫉報；［VK1003018］

瞋しん惱のう（怒ることと憎むこと）と瞋しん惱のうの報い・

是瞋惱，是瞋惱報；［VK1003019］

邪じゃ見けんと邪じゃ見けんの報い・

是邪見，是邪見報；［VK1003020］

    （六ろく蔽へい）

慳けん悋りん（物惜しみ）と慳けん悋りんの報い・

是慳悋，是慳悋報；［VK1003021］

破は戒かいと破は戒かいの報い・

是毀戒，是毀戒報；［VK1003022］

瞋しん恚いと瞋しん恚いの報い・

是瞋恚，是瞋恚報；［VK1003023］

怠たい惰だと怠たい惰だの報い・

是懈怠，是懈怠報；［VK1003024］

乱らん意い（心が乱れること）と乱らん意いの報い・

是亂意，是亂意報；［VK1003025］

愚ぐ昧まいと愚ぐ昧まいの報い・

是愚癡，是愚癡報；［VK1003026］


受じゅ戒かい（戒かい律りつを受けること）のこと・持じ戒かいのこと・犯はん戒かい（戒かい律りつを犯すこと）のこと・

是結戒，是持戒，是犯戒；［VK1003027］

応おう作さ（するべきこと）のこと・不ふ応おう作さ（するべきではないこと）のこと・

是應作，是不應作；［VK1003028］

障しょう害がいのこと・不障しょう害がいのこと・

是障礙，是不障礙；［VK1003029］

犯罪のこと・離り罪ざい（罪を離はなれ ること）のこと・

是得罪，是離罪；［VK1003030］

浄のこと・垢のこと・

是淨，是垢；［VK1003031］

有う漏ろのこと・無む漏ろのこと・

是有漏，是無漏；［VK1003032］

邪道のこと・正しょう道とうのこと・

是邪道，是正道；［VK1003033］

有う為いのこと・無む為いのこと・

是有為，是無為；［VK1003034］

世間のこと・涅ね槃はん等々のことを衆しゅ生じょうにお説きになります。

是世間，是涅槃。［VK1003035］

この世界の人々は心が猿のようです。人々を教きょう化かするのは難しいのです。

以難化之人心如猨猴，［VK1003036］

それゆえ、さまざまな方法で衆しゅ生じょうの心を制せい御ぎょしています。そうすれば衆しゅ生じょうを調じょう伏ぶくさせることができるようになるのです。

故以若干種法制御其心，乃可調伏，［VK1003037］

例えば、野や性せい的な象や馬を馴らすのは難しい。

譬如象馬，𢤱悷不調，［VK1003038］

動物の皮肉にさまざまな激げき痛つうを与え、その痛みが骨まで達すれば、

加諸楚毒乃至徹骨，［VK1003039］

馴らすことができるようになるのです。

然後調伏。［VK1003040］

このように、頑がん固こで教きょう化かし難い衆しゅ生じょうに、さまざまな厳しいことを言います。

如是剛強難化眾生，故以一切苦切之言，［VK1003041］

そうすれば衆しゅ生じょうを仏道に導くことができるようになるのです。」

乃可入律。」［VK1003042］


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