獅子の座
【維摩経】不思議品
獅子の座
それから、維摩詰長者は文殊菩薩に聞きました。
爾時,長者維摩詰問文殊師利:[VK0602001]
「御仁は無量の千万億の阿僧祇(数えられないほどの大きな数)の仏国を訪れたことがある。
「仁者遊於無量千萬億阿僧祇國,[VK0602002]
どの仏国にもっとも素晴らしい功徳で作り出す獅子の座があるだろうか?」
何等佛土有好上妙功德成就師子之座?」[VK0602003]
文殊菩薩は答えました。
文殊師利言:[VK0602004]
「居士! ここから東へ三十六恒河沙(ガンジス河のすべての砂のような数量)の仏国を通り過ぎたところに、
「居士!東方度三十六恒河沙國,[VK0602005]
須弥相という世界があり、その世界の如来様は、須弥灯王とおっしゃいます。
有世界名須彌相,其佛號須彌燈王,今現在。[VK0602006]
須弥灯王様はいま在世でいらっしゃり、ご身長は八万四千由旬(距離の単位。一由旬は、牛車の一日の行程の距離)、
彼佛身長八萬四千由旬,[VK0602007]
その獅子の座の高さは八万四千由旬であり、一番荘厳です。」
其師子座高八萬四千由旬,嚴飾第一。」[VK0602008]
そこで、維摩詰が神通力を使うと、
於是長者維摩詰現神通力,[VK0602009]
須弥灯王如来は即座に三万二千台の獅子の座を維摩詰の部屋の中に転送されました。それらの獅子の座は高くて、広くて、荘厳で、清浄でした。
即時彼佛遣三萬二千師子座,高廣嚴淨,來入維摩詰室,[VK0602010]
部屋にいた菩薩たち・大弟子たち・帝釈天・梵天王・護世四天王などは、
諸菩薩、大弟子、釋、梵、四天王等,[VK0602011]
そのような獅子の座を見たことがありませんでした。
昔所未見。[VK0602012]
それに、部屋はなぜか広くなって、三万二千台の獅子の座すべてが収容でき、しかも、鮨詰めになることがなく、
其室廣博,悉皆包容三萬二千師子座,無所妨礙。[VK0602013]
ヴァイシャーリー大都市、閻浮提(人間の世界)及び四天下(須弥山を囲んでいる四つの大陸)はいつもどおりで、込むことがありませんでした。
於毘耶離城及閻浮提、四天下,亦不迫迮,悉見如故。[VK0602014]
その時、維摩詰は文殊菩薩に言いました。
爾時維摩詰語文殊師利:[VK0602015]
「さあ、獅子の座に着席しよう! 菩薩たち、上人たちと共に、
「就師子座!與諸菩薩上人俱坐,[VK0602016]
身を獅子の座ほどの大きさに変えよう!」
當自立身如彼座像。」[VK0602017]
神通力を持っている菩薩たちは、
其得神通菩薩,[VK0602018]
即座に身を四万二千由旬の高さに変えて、獅子の座に着席しました。
即自變形為四萬二千由旬,坐師子座,[VK0602019]
しかし、他の新米の菩薩たちと大弟子たちは獅子の座の上に登ることができませんでした。
諸新發意菩薩及大弟子皆不能昇。[VK0602020]
そこで、維摩詰はシャーリプトラに言いました。
爾時維摩詰語舍利弗:[VK0602021]
「獅子の座に着席しよう!」
「就師子座!」[VK0602022]
シャーリプトラは答えました。
舍利弗言:[VK0602023]
「申し訳ございません! 居士様!
「居士![VK0602024]
獅子の座は高すぎるので、私は獅子の座の上に登ることができかねるのです。」
此座高廣,吾不能昇。」[VK0602025]
維摩詰は言いました。
維摩詰言:[VK0602026]
「では、シャーリプトラさんよ! 須弥灯王如来様に礼をしよう!
「唯,舍利弗!為須彌燈王如來作禮,[VK0602027]
そうすれば、獅子の座に座れるようになるのだ。」
乃可得坐。」[VK0602028]
そこで、新米の菩薩たちと大弟子たちが須弥灯王如来に礼をすると、
於是新發意菩薩及大弟子即為須彌燈王如來作禮,[VK0602029]
皆は(須弥灯王如来の神通力によって)獅子の座に座ることができました。
便得坐師子座。[VK0602030]
シャーリプトラは言いました。
舍利弗言:[VK0602031]
「居士様よ! これは未曾有でございます!
「居士!未曾有也![VK0602032]
この部屋の面積は大きくないですが、意外にも、これらの高く広い獅子の座が収容でき、
如是小室,乃容受此高廣之座,[VK0602033]
しかも、獅子の座たちはヴァイシャーリー大都市を塞がず、
於毘耶離城無所妨礙,[VK0602034]
また、人間の集落・町・四大洲・諸天界・龍王や鬼神の宮殿は込むことがないとは。」
又於閻浮提聚落、城邑,及四天下諸天、龍王、鬼神宮殿,亦不迫迮。」[VK0602035]
【維摩経】不思議品
獅子の座
それから、維摩詰長者は文殊菩薩に聞きました。
爾時,長者維摩詰問文殊師利:[VK0602001]
「御仁は無量の千万億の阿僧祇(数えられないほどの大きな数)の仏国を訪れたことがある。
「仁者遊於無量千萬億阿僧祇國,[VK0602002]
どの仏国にもっとも素晴らしい功徳で作り出す獅子の座があるだろうか?」
何等佛土有好上妙功德成就師子之座?」[VK0602003]
文殊菩薩は答えました。
文殊師利言:[VK0602004]
「居士! ここから東へ三十六恒河沙(ガンジス河のすべての砂のような数量)の仏国を通り過ぎたところに、
「居士!東方度三十六恒河沙國,[VK0602005]
須弥相という世界があり、その世界の如来様は、須弥灯王とおっしゃいます。
有世界名須彌相,其佛號須彌燈王,今現在。[VK0602006]
須弥灯王様はいま在世でいらっしゃり、ご身長は八万四千由旬(距離の単位。一由旬は、牛車の一日の行程の距離)、
彼佛身長八萬四千由旬,[VK0602007]
その獅子の座の高さは八万四千由旬であり、一番荘厳です。」
其師子座高八萬四千由旬,嚴飾第一。」[VK0602008]
そこで、維摩詰が神通力を使うと、
於是長者維摩詰現神通力,[VK0602009]
須弥灯王如来は即座に三万二千台の獅子の座を維摩詰の部屋の中に転送されました。それらの獅子の座は高くて、広くて、荘厳で、清浄でした。
即時彼佛遣三萬二千師子座,高廣嚴淨,來入維摩詰室,[VK0602010]
部屋にいた菩薩たち・大弟子たち・帝釈天・梵天王・護世四天王などは、
諸菩薩、大弟子、釋、梵、四天王等,[VK0602011]
そのような獅子の座を見たことがありませんでした。
昔所未見。[VK0602012]
それに、部屋はなぜか広くなって、三万二千台の獅子の座すべてが収容でき、しかも、鮨詰めになることがなく、
其室廣博,悉皆包容三萬二千師子座,無所妨礙。[VK0602013]
ヴァイシャーリー大都市、閻浮提(人間の世界)及び四天下(須弥山を囲んでいる四つの大陸)はいつもどおりで、込むことがありませんでした。
於毘耶離城及閻浮提、四天下,亦不迫迮,悉見如故。[VK0602014]
その時、維摩詰は文殊菩薩に言いました。
爾時維摩詰語文殊師利:[VK0602015]
「さあ、獅子の座に着席しよう! 菩薩たち、上人たちと共に、
「就師子座!與諸菩薩上人俱坐,[VK0602016]
身を獅子の座ほどの大きさに変えよう!」
當自立身如彼座像。」[VK0602017]
神通力を持っている菩薩たちは、
其得神通菩薩,[VK0602018]
即座に身を四万二千由旬の高さに変えて、獅子の座に着席しました。
即自變形為四萬二千由旬,坐師子座,[VK0602019]
しかし、他の新米の菩薩たちと大弟子たちは獅子の座の上に登ることができませんでした。
諸新發意菩薩及大弟子皆不能昇。[VK0602020]
そこで、維摩詰はシャーリプトラに言いました。
爾時維摩詰語舍利弗:[VK0602021]
「獅子の座に着席しよう!」
「就師子座!」[VK0602022]
シャーリプトラは答えました。
舍利弗言:[VK0602023]
「申し訳ございません! 居士様!
「居士![VK0602024]
獅子の座は高すぎるので、私は獅子の座の上に登ることができかねるのです。」
此座高廣,吾不能昇。」[VK0602025]
維摩詰は言いました。
維摩詰言:[VK0602026]
「では、シャーリプトラさんよ! 須弥灯王如来様に礼をしよう!
「唯,舍利弗!為須彌燈王如來作禮,[VK0602027]
そうすれば、獅子の座に座れるようになるのだ。」
乃可得坐。」[VK0602028]
そこで、新米の菩薩たちと大弟子たちが須弥灯王如来に礼をすると、
於是新發意菩薩及大弟子即為須彌燈王如來作禮,[VK0602029]
皆は(須弥灯王如来の神通力によって)獅子の座に座ることができました。
便得坐師子座。[VK0602030]
シャーリプトラは言いました。
舍利弗言:[VK0602031]
「居士様よ! これは未曾有でございます!
「居士!未曾有也![VK0602032]
この部屋の面積は大きくないですが、意外にも、これらの高く広い獅子の座が収容でき、
如是小室,乃容受此高廣之座,[VK0602033]
しかも、獅子の座たちはヴァイシャーリー大都市を塞がず、
於毘耶離城無所妨礙,[VK0602034]
また、人間の集落・町・四大洲・諸天界・龍王や鬼神の宮殿は込むことがないとは。」
又於閻浮提聚落、城邑,及四天下諸天、龍王、鬼神宮殿,亦不迫迮。」[VK0602035]