須菩提

維摩経ゆいまきょう弟子品ていしほん


ホーム > 維摩経

 > 03.弟子品

 > 4.スブーティ尊者


 スブーティそんじゃ


    (金持ちだけに物乞いをするそんじゃ。金持ちにとってたんにならない)

そこで、おシャ様はスブーティそんじゃくう第一)に言いました。

佛告須菩提:[VK0304001]

「お前がゆいきついに行ってきなさい。」

「汝行詣維摩詰問疾。」[VK0304002]


スブーティはおシャ様に語りました。

須菩提白佛言:[VK0304003]

「申し訳ございません。そん様! 私はその御方をうことができかねます。

「世尊!我不堪任詣彼問疾。[VK0304004]

かつて、私はゆいきつ様の御宅に伺い、ご飯を乞おうと存じました。

憶念我昔,入其舍,從乞食,[VK0304005]

あの時、ゆいきつ様は私のはちそう 食器)をお取りになり、

時維摩詰取我鉢,[VK0304006]

ご飯をいっぱいに盛ってくださいました。

盛滿飯,[VK0304007]

そして、私に話しかけられました。

謂我言:[VK0304008]


    (すべては平等である)

『スブーティさん! あのさぁ、

『唯,須菩提![VK0304009]

飲食に対して平等ならば、しょほうに対しても平等なのだ。

若能於食等者,諸法亦等,[VK0304010]

同様に、しょほうに対して平等ならば、、飲食に対しても平等なのだ。

諸法等者,於食亦等;[VK0304011]

お前がこれができるなら、このご飯を受け取りなさい。

如是行乞,乃可取食。[VK0304012]


もしお前がじょうよくしん(怒ること)・まいを断ち切らず、しかも、じょうよくしんまいを起こさず、

若須菩提不斷婬怒癡,亦不與俱;[VK0304013]

身の相を断ち切らないままいっそう(すべては同一であること)に従い、

不壞於身,而隨一相;[VK0304014]

まいじょうよくはな ないままでだつきょうに至り、

不滅癡愛,起於明脫;[VK0304015]

ぎゃくざいぎゃくざいを犯したら、きっとけん地獄に落ちる。母を殺すこと・父を殺すこと・カンを殺すこと・仏の身体を傷つけること・そうだんの和合を破壊すること)の相によってだつきょうに至り、

以五逆相而得解脫,[VK0304016]

解放されることもそくばくされることもなく、

亦不解不縛;[VK0304017]

しょうたいたいじったいめったいとうたい)のかんねんを抱いておらぬが、しょうたいを知らぬのではなく(しょうたいかんねんを捨てる)、

不見四諦,非不見諦;[VK0304018]

しょう(悟りのきょうに至った聖者の位)を得ておらぬが、得ることができぬのではなく、

非得果,非不得果;[VK0304019]

ぼん(聖者に対して、悟りを開いていない人)ではないが、ぼんのことをせぬのでもなく、

非凡夫,非離凡夫法;[VK0304020]

しょうにんではなく、しょうにんでないのでもなく、

非聖人,非不聖人;[VK0304021]

すべての法を理解したが、しょほうの相をはな る(しょほうは幻である)、

雖成就一切法,而離諸法相,[VK0304022]

もしこれらのことができるなら、このご飯を受け取りなさい。

乃可取食。[VK0304023]


    (ぜんあくは平等である)

お前がそん様をはな 、仏法を聴かず、

若須菩提不見佛,不聞法,[VK0304024]

ろくどうシャと同時代の代表的な六人の思想家)、すなわち

彼外道六師:[VK0304025]

プーラナ・カッサバ・

富蘭那迦葉、[VK0304026]

マッカリ・ゴーサーラ・

末伽梨拘賒梨子、[VK0304027]

サンジャヤ・ベーラッティプッタ・

刪闍夜毘羅胝子、[VK0304028]

アジタ・ケーサカンバラ・

阿耆多翅舍欽婆羅、[VK0304029]

パクダ・カッチャーヤナ・

迦羅鳩馱迦旃延、[VK0304030]

ニガンタ・ナータプッタが

尼犍陀若提子等,[VK0304031]

お前の先生になり、

是汝之師。[VK0304032]

お前は彼らに従ってしゅっし、

因其出家,[VK0304033]

彼らが地獄に落ちたら、お前も皆と共に地獄に落ちる(ろくどうさいする)、

彼師所墮,汝亦隨墮,[VK0304034]

もしそれができるなら、このご飯を受け取りなさい。

乃可取食。[VK0304035]


    (仏と魔は平等である)

お前がさまざまなじゃけんに入り、がんに渡らず、

若須菩提入諸邪見,不到彼岸;[VK0304036]

はちなんのところにとどまり、そこをはな ず、

住於八難,不得無難;[VK0304037]

しゅじょうと共にぼんのうおちいり、しょうじょうの法(仏法)をはな

同於煩惱,離清淨法;[VK0304038]

お前はじょうざんまい(人・我・しゅじょうがないと悟ったゆえ、争いの心を抱いていないきょう)を習得し、

汝得無諍三昧,[VK0304039]

すべてのしゅじょうじょうざんまいを習得し、

一切眾生亦得是定;[VK0304040]

お前におんけいを施しても、そのから積んだふくとくがなく、

其施汝者,不名福田;[VK0304041]

お前をようすれば、三あくどうに落ちていく。

供養汝者,墮三惡道;[VK0304042]

お前は悪魔の仲間に入り、世間を乱し、

為與眾魔共一手作諸勞侶,[VK0304043]

お前は悪魔及びさまざまな悪に等しく、

汝與眾魔,及諸塵勞,等無有異;[VK0304044]

しゅじょうに対して害心を抱き、

於一切眾生而有怨心,[VK0304045]

にょらい様をちゅうしょうし、仏法を破壊し、

謗諸佛、毀於法,[VK0304046]

四部の衆(そく)に入らず、

不入眾數,[VK0304047]

最後まで仏にならない、

終不得滅度。[VK0304048]

    (さつは魔になってしゅじょうれんを与える)

もしこれらのことができるなら、このご飯を受け取りなさい。』

汝若如是,乃可取食。』[VK0304049]


そん様、あの時、私はゆいきつ様のごきょうはいちょうして茫然としました。

時我,世尊!聞此語茫然,[VK0304050]

その御方のおっしゃることが承知できなかったのです。

不識是何言?[VK0304051]

へんとうに窮しました! 

不知以何答?[VK0304052]


それで、私がはちを置き、ゆいきつ様の御宅を出ようとした時、

便置鉢欲出其舍。[VK0304053]

ゆいきつ様はおっしゃいました。

維摩詰言:[VK0304054]

『待ちなさい! スブーティさんよ! 

『唯,須菩提![VK0304055]

おそれるな! ご飯を受け取りなさい! お前はどう思う? 

取鉢勿懼。於意云何?[VK0304056]

もしそん様のご分身が、さっきの言葉をお前におっしゃるなら、

如來所作化人,若以是事詰,[VK0304057]

お前はおそれるか?』

寧有懼不?』[VK0304058]


私はお答えいたしました。

我言:[VK0304059]

『いいえ、おそれないです。』

『不也!』[VK0304060]


ゆいきつ様はおっしゃいました。

維摩詰言:[VK0304061]

『あらゆる法は幻の相のようである。

『一切諸法,如幻化相,[VK0304062]

お前はいまおそれる必要がないのだ。なぜかというと、

汝今不應有所懼也。所以者何?[VK0304063]

あらゆる言葉は幻の相と同じだからだ。

一切言說不離是相;[VK0304064]

賢者は文字にとらわれぬゆえ、おそれることがない。なぜなら、

至於智者,不著文字,故無所懼。何以故?[VK0304065]

文字の相をはな ていて、心には文字がない、

文字性離,無有文字,[VK0304066]

これはだつきょうである。

是則解脫;[VK0304067]

しょほうはもともとそくばくがないのだ。』

解脫相者,則諸法也。』[VK0304068]


ゆいきつ様がこのごきょうをお説きになった時、

維摩詰說是法時,[VK0304069]

二百人の天子はしょうじょうほうげんを得ました。

二百天子得法眼淨,[VK0304070]

それゆえ、私はその御方をうことができかねます。」

故我不任詣彼問疾。」[VK0304071]



Scroll to Top