富楼那
【維摩経】弟子品
プールナ尊者
そこで、お釈迦様はプールナ・マイトラーヤニープトラ尊者(説法第一)に言いました。
佛告富樓那彌多羅尼子:[VK0305001]
「お前が維摩詰を見舞いに行ってきなさい。」
「汝行詣維摩詰問疾。」[VK0305002]
プールナはお釈迦様に語りました。
富樓那白佛言:[VK0305003]
「申し訳ございません。世尊様。私はその御方を見舞うことができかねます。なぜかというと、
「世尊!我不堪任詣彼問疾。所以者何?[VK0305004]
かつて、私は大きな林の中にいて、ある木の下で
憶念我昔,於大林中,在一樹下[VK0305005]
新参の比丘に説法してさしあげていました。
為諸新學比丘說法。[VK0305006]
その時、維摩詰様がお見えになり、私に話しかけられました。
時維摩詰來謂我言:[VK0305007]
『ちょっと! プールナさんよ!
『唯,富樓那![VK0305008]
まず禅定に入って比丘の心を観察してから、彼に説法してあげよう。
先當入定,觀此人心,然後說法。[VK0305009]
汚い食べ物を宝器に盛ってはならぬ。
無以穢食置於寶器,[VK0305010]
よく彼の志向を知るべきだ。
當知是比丘心之所念,[VK0305011]
瑠璃をガラス玉と見なしてはならないのだ。
無以琉璃同彼水精。[VK0305012]
お前が衆生の前世のことを分からないのに、
汝不能知眾生根源,[VK0305013]
人々を小乗の法に導いてはいけぬ。
無得發起以小乘法。[VK0305014]
皮膚に膿疱がなければ、針で刺してはならぬ。
彼自無瘡,勿傷之也;[VK0305015]
大通りを歩きたい人に小道を指示してはならぬ。
欲行大道,莫示小徑;[VK0305016]
大海を牛の足跡に入れてはならぬ。
無以大海,內於牛跡;[VK0305017]
日光を蛍の光と見なしてはならないのだ。
無以日光,等彼螢火。[VK0305018]
プールナさんよ!
富樓那![VK0305019]
この比丘は昔昔(過去の世)にすでに大乗の心を発し、途中でその志を忘れていたのだ。
此比丘久發大乘心,中忘此意,[VK0305020]
なぜ彼に小乗の法を教え導くのか?
如何以小乘法而教導之?[VK0305021]
私から見ると、小乗の智慧は浅く、
我觀小乘智慧微淺,[VK0305022]
盲人のように、よく衆生の資質を鑑定することができないのだ。』
猶如盲人,不能分別一切眾生根之利鈍。』[VK0305023]
維摩詰様はすぐ三昧にお入りになり、
時維摩詰即入三昧,[VK0305024]
比丘に過去の世のことを思い出させなさいました。
令此比丘自識宿命,[VK0305025]
かつて、比丘は五百の如来様のもとで、さまざまな功徳を積んでいて、
曾於五百佛所植眾德本,[VK0305026]
そして廻向してその功徳によって阿耨多羅三藐三菩提(無上正等覚)を求めたのです。
迴向阿耨多羅三藐三菩提,[VK0305027]
比丘は過去のことを思い出し、心はすっきりし、本心に戻りました。
即時豁然,還得本心。[VK0305028]
その時、他の比丘たちは平伏して額を維摩詰様のお足につけて拝みました。
於是諸比丘稽首禮維摩詰足。[VK0305029]
維摩詰様のご説法のおかげで、
時維摩詰因為說法,[VK0305030]
比丘たちは阿耨多羅三藐三菩提心が二度と退転しなくなったのです。
於阿耨多羅三藐三菩提不復退轉。[VK0305031]
私は、声聞の弟子は人々の資質を鑑定することができませんので、
我念聲聞不觀人根,[VK0305032]
人々に説法すべきではないのだと考えました。
不應說法,[VK0305033]
それゆえ、私はその御方を見舞うことができかねます。」
是故不任詣彼問疾。」[VK0305034]
【維摩経】弟子品
プールナ尊者
そこで、お釈迦様はプールナ・マイトラーヤニープトラ尊者(説法第一)に言いました。
佛告富樓那彌多羅尼子:[VK0305001]
「お前が維摩詰を見舞いに行ってきなさい。」
「汝行詣維摩詰問疾。」[VK0305002]
プールナはお釈迦様に語りました。
富樓那白佛言:[VK0305003]
「申し訳ございません。世尊様。私はその御方を見舞うことができかねます。なぜかというと、
「世尊!我不堪任詣彼問疾。所以者何?[VK0305004]
かつて、私は大きな林の中にいて、ある木の下で
憶念我昔,於大林中,在一樹下[VK0305005]
新参の比丘に説法してさしあげていました。
為諸新學比丘說法。[VK0305006]
その時、維摩詰様がお見えになり、私に話しかけられました。
時維摩詰來謂我言:[VK0305007]
『ちょっと! プールナさんよ!
『唯,富樓那![VK0305008]
まず禅定に入って比丘の心を観察してから、彼に説法してあげよう。
先當入定,觀此人心,然後說法。[VK0305009]
汚い食べ物を宝器に盛ってはならぬ。
無以穢食置於寶器,[VK0305010]
よく彼の志向を知るべきだ。
當知是比丘心之所念,[VK0305011]
瑠璃をガラス玉と見なしてはならないのだ。
無以琉璃同彼水精。[VK0305012]
お前が衆生の前世のことを分からないのに、
汝不能知眾生根源,[VK0305013]
人々を小乗の法に導いてはいけぬ。
無得發起以小乘法。[VK0305014]
皮膚に膿疱がなければ、針で刺してはならぬ。
彼自無瘡,勿傷之也;[VK0305015]
大通りを歩きたい人に小道を指示してはならぬ。
欲行大道,莫示小徑;[VK0305016]
大海を牛の足跡に入れてはならぬ。
無以大海,內於牛跡;[VK0305017]
日光を蛍の光と見なしてはならないのだ。
無以日光,等彼螢火。[VK0305018]
プールナさんよ!
富樓那![VK0305019]
この比丘は昔昔(過去の世)にすでに大乗の心を発し、途中でその志を忘れていたのだ。
此比丘久發大乘心,中忘此意,[VK0305020]
なぜ彼に小乗の法を教え導くのか?
如何以小乘法而教導之?[VK0305021]
私から見ると、小乗の智慧は浅く、
我觀小乘智慧微淺,[VK0305022]
盲人のように、よく衆生の資質を鑑定することができないのだ。』
猶如盲人,不能分別一切眾生根之利鈍。』[VK0305023]
維摩詰様はすぐ三昧にお入りになり、
時維摩詰即入三昧,[VK0305024]
比丘に過去の世のことを思い出させなさいました。
令此比丘自識宿命,[VK0305025]
かつて、比丘は五百の如来様のもとで、さまざまな功徳を積んでいて、
曾於五百佛所植眾德本,[VK0305026]
そして廻向してその功徳によって阿耨多羅三藐三菩提(無上正等覚)を求めたのです。
迴向阿耨多羅三藐三菩提,[VK0305027]
比丘は過去のことを思い出し、心はすっきりし、本心に戻りました。
即時豁然,還得本心。[VK0305028]
その時、他の比丘たちは平伏して額を維摩詰様のお足につけて拝みました。
於是諸比丘稽首禮維摩詰足。[VK0305029]
維摩詰様のご説法のおかげで、
時維摩詰因為說法,[VK0305030]
比丘たちは阿耨多羅三藐三菩提心が二度と退転しなくなったのです。
於阿耨多羅三藐三菩提不復退轉。[VK0305031]
私は、声聞の弟子は人々の資質を鑑定することができませんので、
我念聲聞不觀人根,[VK0305032]
人々に説法すべきではないのだと考えました。
不應說法,[VK0305033]
それゆえ、私はその御方を見舞うことができかねます。」
是故不任詣彼問疾。」[VK0305034]