供養
【維摩経】法供養品
最上の供養
お釈迦様:
「その時、王子たちの中の月蓋王子がひとりで座って考えていた。
其王一子,名曰月蓋,獨坐思惟:[VK1303001]
『これよりもっとすぐれた供養があるだろうか?』
『寧有供養殊過此者?』[VK1303002]
その時、天空からの声が月蓋に言った。
以佛神力,空中有天曰:[VK1303003]
『善良な男子よ! 法の供養が他の供養に勝るのだ。』
『善男子!法之供養勝諸供養』[VK1303004]
月蓋王子:
即問:[VK1303005]
『法の供養とはいったいどんな供養でしょうか?』
『何謂法之供養?』[VK1303006]
天空の声:
天曰:[VK1303007]
『薬王如来様に問いに行きなさい!
『汝可往問藥王如來,[VK1303008]
薬王如来様はきっとお前に説明してくださる。』
當廣為汝說法之供養。』[VK1303009]
月蓋王子はすぐ薬王如来に謁見し、平伏して額を薬王如来のお足につけて拝み、
即時月蓋王子行詣藥王如來,稽首佛足,[VK1303010]
そしてそばに退いて如来に問うた。
却住一面,白佛言:[VK1303011]
『世尊様! すべての供養で、法の供養がもっともすぐれた供養だと拝聴しましたが、
『世尊!諸供養中,法供養勝。[VK1303012]
それはいったいどんな供養なのでしょうか?』
云何為法供養?』[VK1303013]
薬王如来は語った。
佛言:[VK1303014]
『善良な男子よ! あのさぁ、
『善男子!法供養者,[VK1303015]
諸如来が説く奥深い経典は、世間の人々にとって信じられないものなのだ。
諸佛所說深經,一切世間難信難受,[VK1303016]
それは微妙で、見極めるのが難しく、
微妙難見,[VK1303017]
清浄で、汚染がなく、
清淨無染,[VK1303018]
区別や思考によって理解できず、
非但分別思惟之所能得,[VK1303019]
菩薩の奥深い智慧を秘蔵し、
菩薩法藏所攝,[VK1303020]
陀羅尼(呪文)がつけられ、
陀羅尼印印之;[VK1303021]
人々を不退転の境地に至らせることができ、
至不退轉,[VK1303022]
人々に六波羅蜜を達成させることができ、
成就六度,[VK1303023]
よく真実を説明し、
善分別義,[VK1303024]
菩提の法に従い、
順菩提法,[VK1303025]
諸経の上に位し、
眾經之上;[VK1303026]
大慈悲の心を起こさせることができ、
入大慈悲,[VK1303027]
さまざまな邪見と邪悪なことを離れていて、
離眾魔事及諸邪見;[VK1303028]
因縁の法に従い、
順因緣法,[VK1303029]
我・人・衆生・寿者の観念がなく、
無我、無人、無眾生、無壽命,[VK1303030]
空・無相・無作・無起の境地を解説し、
空、無相、無作、無起;[VK1303031]
衆生を道場に座らせて説法させることができ、
能令眾生坐於道場而轉法輪,[VK1303032]
天人たち、龍神たちと乾闥婆たちなどに称賛され、
諸天、龍神、乾闥婆等所共歎譽;[VK1303033]
衆生を仏法の奥底に入り込ませることができ、
能令眾生入佛法藏,[VK1303034]
諸賢聖のすべての智慧を内蔵し、
攝諸賢聖一切智慧;[VK1303035]
さまざまな菩薩の道を説き、
說眾菩薩所行之道;[VK1303036]
諸法の実相に従い、
依於諸法實相之義,[VK1303037]
無常・苦・空・無我・寂滅の理をはっきり説き、
明宣無常、苦、空、無我、寂滅之法;[VK1303038]
戒を犯した衆生を救うことができ、
能救一切毀禁眾生,[VK1303039]
悪魔たち・外道たち及び欲深い人々を恐れさせることができ、
諸魔外道及貪著者能使怖畏,[VK1303040]
諸如来と賢聖たちに賛嘆され、
諸佛賢聖所共稱歎;[VK1303041]
生死の苦しみを除くことができ、涅槃の楽しみを示すことができる。
背生死苦,示涅槃樂,[VK1303042]
これが十方・三世の諸如来が説く経典なのだ。
十方三世諸佛所說;[VK1303043]
そして、このような経典を聴いたり、信じたり、学んだり、覚えたり、読んだりし、
若聞如是等經,信解、受持、讀誦,[VK1303044]
方便の力を利用して衆生に経典の意味をはっきり解説し、
以方便力為諸眾生分別解說,顯示分明,[VK1303045]
経典を守護するなどということは、法の供養ということだ。
守護法故,是名法之供養。[VK1303046]
さらに、経典の教義どおりに修行し、
又於諸法如說修行,[VK1303047]
十二因縁の法に従い、
隨順十二因緣,[VK1303048]
さまざまな邪見を離れ、
離諸邪見,[VK1303049]
無生法忍の境地に至り、
得無生忍;[VK1303050]
無我・無衆生の理を肯定し、
決定無我無有眾生,[VK1303051]
因縁・果報の観念について否定も争いもなく、
而於因緣果報無違無諍,[VK1303052]
種々の我所の観念を離れ、
離諸我所;[VK1303053]
経典の真義に従い、文字に従わず、
依於義不依語,[VK1303054]
仏の智慧に従い、六識(心を汚染する根源)に従わず、
依於智不依識,[VK1303055]
了義経(究極の真理を記述している経典)に従い、不了義経に従わず、
依了義經不依不了義經,[VK1303056]
仏法に従い、人に従わず(弘法にも筆の誤り)、
依於法不依人;[VK1303057]
法の実相に従って去来がない。
隨順法相,無所入,無所歸;[VK1303058]
(十二因縁:無明・行・識・名色・六処・触・受・愛・取・有・生・老死)
また、無明はもともと寂滅であり、
無明畢竟滅故,[VK1303059]
諸行(身・口・意の動き)ももともと寂滅であり、
諸行亦畢竟滅,[VK1303060]
そのように続いて、生まれることももともと寂滅であり、
乃至生畢竟滅故,[VK1303061]
老死(年老いて死ぬこと)までももともと寂滅である。
老死亦畢竟滅:[VK1303062]
そのように十二因縁を洞察し、
作如是觀十二因緣,[VK1303063]
おのおの存在がないのでさらに十二因縁の観念を断ち切る。
無有盡相,不復起見,[VK1303064]
以上のことが最上の法の供養なのだ』。」
是名最上法之供養。』」[VK1303065]
【維摩経】法供養品
最上の供養
お釈迦様:
「その時、王子たちの中の月蓋王子がひとりで座って考えていた。
其王一子,名曰月蓋,獨坐思惟:[VK1303001]
『これよりもっとすぐれた供養があるだろうか?』
『寧有供養殊過此者?』[VK1303002]
その時、天空からの声が月蓋に言った。
以佛神力,空中有天曰:[VK1303003]
『善良な男子よ! 法の供養が他の供養に勝るのだ。』
『善男子!法之供養勝諸供養』[VK1303004]
月蓋王子:
即問:[VK1303005]
『法の供養とはいったいどんな供養でしょうか?』
『何謂法之供養?』[VK1303006]
天空の声:
天曰:[VK1303007]
『薬王如来様に問いに行きなさい!
『汝可往問藥王如來,[VK1303008]
薬王如来様はきっとお前に説明してくださる。』
當廣為汝說法之供養。』[VK1303009]
月蓋王子はすぐ薬王如来に謁見し、平伏して額を薬王如来のお足につけて拝み、
即時月蓋王子行詣藥王如來,稽首佛足,[VK1303010]
そしてそばに退いて如来に問うた。
却住一面,白佛言:[VK1303011]
『世尊様! すべての供養で、法の供養がもっともすぐれた供養だと拝聴しましたが、
『世尊!諸供養中,法供養勝。[VK1303012]
それはいったいどんな供養なのでしょうか?』
云何為法供養?』[VK1303013]
薬王如来は語った。
佛言:[VK1303014]
『善良な男子よ! あのさぁ、
『善男子!法供養者,[VK1303015]
諸如来が説く奥深い経典は、世間の人々にとって信じられないものなのだ。
諸佛所說深經,一切世間難信難受,[VK1303016]
それは微妙で、見極めるのが難しく、
微妙難見,[VK1303017]
清浄で、汚染がなく、
清淨無染,[VK1303018]
区別や思考によって理解できず、
非但分別思惟之所能得,[VK1303019]
菩薩の奥深い智慧を秘蔵し、
菩薩法藏所攝,[VK1303020]
陀羅尼(呪文)がつけられ、
陀羅尼印印之;[VK1303021]
人々を不退転の境地に至らせることができ、
至不退轉,[VK1303022]
人々に六波羅蜜を達成させることができ、
成就六度,[VK1303023]
よく真実を説明し、
善分別義,[VK1303024]
菩提の法に従い、
順菩提法,[VK1303025]
諸経の上に位し、
眾經之上;[VK1303026]
大慈悲の心を起こさせることができ、
入大慈悲,[VK1303027]
さまざまな邪見と邪悪なことを離れていて、
離眾魔事及諸邪見;[VK1303028]
因縁の法に従い、
順因緣法,[VK1303029]
我・人・衆生・寿者の観念がなく、
無我、無人、無眾生、無壽命,[VK1303030]
空・無相・無作・無起の境地を解説し、
空、無相、無作、無起;[VK1303031]
衆生を道場に座らせて説法させることができ、
能令眾生坐於道場而轉法輪,[VK1303032]
天人たち、龍神たちと乾闥婆たちなどに称賛され、
諸天、龍神、乾闥婆等所共歎譽;[VK1303033]
衆生を仏法の奥底に入り込ませることができ、
能令眾生入佛法藏,[VK1303034]
諸賢聖のすべての智慧を内蔵し、
攝諸賢聖一切智慧;[VK1303035]
さまざまな菩薩の道を説き、
說眾菩薩所行之道;[VK1303036]
諸法の実相に従い、
依於諸法實相之義,[VK1303037]
無常・苦・空・無我・寂滅の理をはっきり説き、
明宣無常、苦、空、無我、寂滅之法;[VK1303038]
戒を犯した衆生を救うことができ、
能救一切毀禁眾生,[VK1303039]
悪魔たち・外道たち及び欲深い人々を恐れさせることができ、
諸魔外道及貪著者能使怖畏,[VK1303040]
諸如来と賢聖たちに賛嘆され、
諸佛賢聖所共稱歎;[VK1303041]
生死の苦しみを除くことができ、涅槃の楽しみを示すことができる。
背生死苦,示涅槃樂,[VK1303042]
これが十方・三世の諸如来が説く経典なのだ。
十方三世諸佛所說;[VK1303043]
そして、このような経典を聴いたり、信じたり、学んだり、覚えたり、読んだりし、
若聞如是等經,信解、受持、讀誦,[VK1303044]
方便の力を利用して衆生に経典の意味をはっきり解説し、
以方便力為諸眾生分別解說,顯示分明,[VK1303045]
経典を守護するなどということは、法の供養ということだ。
守護法故,是名法之供養。[VK1303046]
さらに、経典の教義どおりに修行し、
又於諸法如說修行,[VK1303047]
十二因縁の法に従い、
隨順十二因緣,[VK1303048]
さまざまな邪見を離れ、
離諸邪見,[VK1303049]
無生法忍の境地に至り、
得無生忍;[VK1303050]
無我・無衆生の理を肯定し、
決定無我無有眾生,[VK1303051]
因縁・果報の観念について否定も争いもなく、
而於因緣果報無違無諍,[VK1303052]
種々の我所の観念を離れ、
離諸我所;[VK1303053]
経典の真義に従い、文字に従わず、
依於義不依語,[VK1303054]
仏の智慧に従い、六識(心を汚染する根源)に従わず、
依於智不依識,[VK1303055]
了義経(究極の真理を記述している経典)に従い、不了義経に従わず、
依了義經不依不了義經,[VK1303056]
仏法に従い、人に従わず(弘法にも筆の誤り)、
依於法不依人;[VK1303057]
法の実相に従って去来がない。
隨順法相,無所入,無所歸;[VK1303058]
(十二因縁:無明・行・識・名色・六処・触・受・愛・取・有・生・老死)
また、無明はもともと寂滅であり、
無明畢竟滅故,[VK1303059]
諸行(身・口・意の動き)ももともと寂滅であり、
諸行亦畢竟滅,[VK1303060]
そのように続いて、生まれることももともと寂滅であり、
乃至生畢竟滅故,[VK1303061]
老死(年老いて死ぬこと)までももともと寂滅である。
老死亦畢竟滅:[VK1303062]
そのように十二因縁を洞察し、
作如是觀十二因緣,[VK1303063]
おのおの存在がないのでさらに十二因縁の観念を断ち切る。
無有盡相,不復起見,[VK1303064]
以上のことが最上の法の供養なのだ』。」
是名最上法之供養。』」[VK1303065]