阿那律

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 > 7.アニルッダ尊者


 アニルッダそんじゃ


そこで、おシャ様はアニルッダそんじゃてんがん第一)に言いました。

佛告阿那律:[VK0307001]

「お前がゆいきついに行ってきなさい。」

「汝行詣維摩詰問疾。」[VK0307002]


アニルッダはおシャ様に語りました。

阿那律白佛言:[VK0307003]

「申し訳ございません。そん様。私はその御方をうことができかねます。なぜかというと、

「世尊!我不堪任詣彼問疾。所以者何?[VK0307004]

かつて、私はあるところでおけいぎょう(一定の場所をゆっくり歩き、心身を落ち着かせる修行)をしておりました。

憶念我昔,於一處經行,[VK0307005]


その時、ごんじょうという名のぼんてんの王が、

時有梵王,名曰嚴淨,[VK0307006]

一万人のぼんてんてんにんたちと共に、身をしょうじょうな光に輝かせながら、

與萬梵俱,放淨光明,[VK0307007]

私を訪ねてきました。

來詣我所,[VK0307008]


彼は礼をして私に聞きました。

稽首作禮問我言:[VK0307009]

『アニルッダそんじゃよ! あなたのてんがんはどこまで見えるのですか?』

『幾何阿那律天眼所見?』[VK0307010]


私はお答えいたしました。

我即答言:[VK0307011]

『御仁よ! 私にとって、掌中のあんろく(ユカン)を見るように、このおシャ様の仏土、つまりこのさんぜんだいせんかいにおいて、どこでも見えるのです。』

『仁者!吾見此釋迦牟尼佛土三千大千世界,如觀掌中菴摩勒果。』[VK0307012]


その時、ゆいきつ様がお見えになり、私に話しかけられました。

時維摩詰來謂我言:[VK0307013]

『ちょっと、アニルッダさん! 

『唯,阿那律![VK0307014]

では、てんがんで見る映像はさくそう(心を起こして作り出す映像)か? 

天眼所見,為作相耶?[VK0307015]

それとも、さくの相(作り出すことがない映像)か? 

無作相耶?[VK0307016]

もしそれがさくそうであれば、お前のてんがんどうの五じんつうと同じなのだ。

假使作相,則與外道五通等;[VK0307017]

もしそれがさくの相であれば、つまり(やることがない。自然のままに行動する)であり、何も見えないはずだ。』

若無作相,即是無為,不應有見。』[VK0307018]


そん様! あの時、私は黙り込んでおりました。

世尊!我時默然。[VK0307019]

ぼんてんてんにんたちはその話を聞いたことがないと思って、

彼諸梵聞其言,得未曾有![VK0307020]

すぐ礼をしてゆいきつ様に問いました。

即為作禮而問曰:[VK0307021]

『世の中、誰が真のてんがんを持っているのでしょうか?』

『世孰有真天眼者?』[VK0307022]


ゆいきつ様はお答えになった。

維摩詰言:[VK0307023]

そん様でいらっしゃる。そん様は真のごてんがんをお持ちで、

『有佛、世尊,得真天眼,[VK0307024]

常にざんまいに入っておいでになり、すべての仏国を見ることがおできになるが、

常在三昧,悉見諸佛國,[VK0307025]

それはさくそうでもさくの相でもないのだ。』

不以二相。』[VK0307026]


それで、ごんじょうぼんおうと五百人のけんぞくたちは、のくさんみゃくさんだいしんを発しました。

於是嚴淨梵王及其眷屬五百梵天,皆發阿耨多羅三藐三菩提心,[VK0307027]

皆はへいふくして額をゆいきつ様のお足につけて拝み、

禮維摩詰足已,[VK0307028]

急に姿が消えてしまいました。

忽然不現![VK0307029]

それゆえ、私はその御方をうことができかねます。」

故我不任詣彼問疾。」[VK0307030]



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