仏国
【維摩経】仏国品
法会、始まる
このように私(アーナンダ尊者。お釈迦様の十大弟子の一人であり、弟子の中で多聞第一と称される)は聞きました。
如是我聞:[VK0101001]
ある日、お釈迦様(釈迦牟尼仏)は八千人の大比丘(出家した男性弟子)及び三万二千人の菩薩と共に、ヴァイシャーリー大都市のマンゴー樹園で説法の集会を開きました。
一時佛在毘耶離菴羅樹園,與大比丘眾八千人俱,菩薩三萬二千。[VK0101002]
〈菩薩たちの成就〉
それらの善知識(人々を正道に導く善い友人。ここでは菩薩を指す)たちは、大智慧が備わっていて、本行(自分の位階に応じる修行)が完成しました。
眾所知識,大智本行,皆悉成就。[VK0101003]
それは諸如来の加護のおかげなのです。
諸佛威神之所建立,[VK0101004]
仏法を守護するために、菩薩たちはさまざまな正法(仏法)を学んでいて、
為護法城,受持正法。[VK0101005]
人々に説法するさまはまるで獅子の咆哮のようです。名声は世間に広まりました。
能師子吼,名聞十方。[VK0101006]
人々に頼まれていなくても、菩薩たちは積極的に衆生を助け、
眾人不請,友而安之。[VK0101007]
三宝(仏・法・僧)を振興し、絶えることをさせません。
紹隆三寶,能使不絕。[VK0101008]
悪魔と怨敵(怨みがある敵)を降伏させ、外道(異教徒)を制し、
降伏魔怨,制諸外道,[VK0101009]
三業(身・口・意)は完全に清浄になり、
悉已清淨,[VK0101010]
身心は永遠に五蓋(貪欲・怒り・睡眠・掉悔・不信)と十纏(無慙・無愧・妬み・惜しみ・後悔・睡眠・興奮・惛沈・怒り・覆)から離れていて、
永離蓋纏。[VK0101011]
心は常に落ち着き、煩悩のない解脱の境地に至りました。
心常安住,無礙解脫。[VK0101012]
正念、正しい禅定、総持(心は善法を忘れず、悪法を起こさない境地)及び弁才が間断ありません。
念、定、總持,辯才不斷。[VK0101013]
布施(施すこと)・持戒(戒律を守ること)・忍辱(侮辱や迫害に耐え忍ぶこと)・
布施、持戒、忍辱、[VK0101014]
精進(一生懸命に仏道に進むこと)・禅定・智慧などの修行、
精進、禪定、智慧[VK0101015]
及び方便(機に応じて人々を教化する手段)の力を、菩薩たちはすべて達成しました。
及方便力,無不具足。[VK0101016]
無所得(得られるものがない)の真理を悟り、無生法忍(すべては不生不滅であると悟ること)の境地に至り、
逮無所得,不起法忍。[VK0101017]
いかなる環境でも衆生を済度でき、
已能隨順,轉不退輪。[VK0101018]
よく実相を理解し、衆生の資質を見極めることができ、
善解法相,知眾生根。[VK0101019]
才能が他の衆生よりすぐれ、無畏(恐れることがないこと)の境地に至りました。
蓋諸大眾,得無所畏。[VK0101020]
功徳を積んだり、智慧を培ったりすることによって心を磨き、
功德智慧,以修其心。[VK0101021]
姿は一番美しく、相好(三十二相八十種好。仏が備わっているすぐれた外見的な身体の特徴)で身を荘厳にします。
相好嚴身,色像第一,[VK0101022]
世間の装身具や化粧品を捨て去り、
捨諸世間,所有飾好。[VK0101023]
名声が高く遠く、須弥山よりもすぐれていて、
名稱高遠,踰於須彌。[VK0101024]
仏を深く信じることは金剛のように堅固です。
深信堅固,猶若金剛。[VK0101025]
まるで甘露の雨を降らせるように衆生を教化し、その声は一番美しく、
法寶普照,而雨甘露。於眾言音,微妙第一。[VK0101026]
物事の縁起(起こる因縁)を深く理解し、さまざまな邪見(誤った見解)を断ち切り、
深入緣起,斷諸邪見,[VK0101027]
有・無という二元性の観念を離れています。
有無二邊,無復餘習。[VK0101028]
菩薩たちが恐れずに仏法演説するさまは、まるで獅子の咆哮のようです。
演法無畏,猶師子吼,[VK0101029]
その演説は雷鳴のように人の心を揺さぶり、
其所講說,乃如雷震,[VK0101030]
説法の内容は、その時代の知識を超越しました。
無有量,已過量。[VK0101031]
船長が海上の宝蔵を探し求めるようにさまざまな仏法を学び、
集眾法寶,如海導師,[VK0101032]
さまざまな仏法の奧深い意味に通じていて、
了達諸法深妙之義。[VK0101033]
衆生の願望や過去・未来の因縁をよく知っています。
善知眾生往來所趣及心所行。[VK0101034]
また、それらの菩薩たちは仏の自在の智慧・十力(仏・菩薩の十種類の能力)・
近無等等佛自在慧、十力、[VK0101035]
無畏・十八不共法(仏だけに備わっている十八種類のすぐれた境地)をだいたい習得し、
無畏、十八不共。[VK0101036]
すべての悪趣(地獄・餓鬼・畜生)の門を閉め(悪の業因がない)、
關閉一切諸惡趣門,[VK0101037]
それでも、五道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道)に転生し、衆生を済度します。
而生五道以現其身。[VK0101038]
医王として衆生の病を治し(悩みを除く)、さまざまな病に応じて薬を処方し、
為大醫王,善療眾病,應病與藥,令得服行。[VK0101039]
無量の功徳をすでに達成しています。
無量功德皆成就,[VK0101040]
菩薩たちの浄土は荘厳で清浄であり、
無量佛土皆嚴淨。[VK0101041]
菩薩たちに会った後、あるいは菩薩たちの説法を聴いた後、利益を得ない人はなく、
其見聞者,無不蒙益。[VK0101042]
菩薩たちのすべての行動は衆生に役立つのです。
諸有所作,亦不唐捐。[VK0101043]
その集会に来た菩薩たちは、このような功徳がすべて備わっています。
如是一切功德、皆悉具足。[VK0101044]
その中の菩薩の名前は、
其名曰:[VK0101045]
等観菩薩・不等観菩薩・等不等観菩薩・
等觀菩薩、不等觀菩薩、等不等觀菩薩、[VK0101046]
定自在王菩薩・法自在王菩薩・
定自在王菩薩、法自在王菩薩、[VK0101047]
法相菩薩・光相菩薩・
法相菩薩、光相菩薩、[VK0101048]
光厳菩薩・大厳菩薩・
光嚴菩薩、大嚴菩薩、[VK0101049]
宝積菩薩・弁積菩薩・
寶積菩薩、辯積菩薩、[VK0101050]
宝手菩薩・宝印手菩薩・
寶手菩薩、寶印手菩薩、[VK0101051]
常挙手菩薩・常下手菩薩・常惨菩薩・
常舉手菩薩、常下手菩薩、常慘菩薩、[VK0101052]
喜根菩薩・喜王菩薩・
喜根菩薩、喜王菩薩、[VK0101053]
弁音菩薩・虚空蔵菩薩・
辯音菩薩、虛空藏菩薩、[VK0101054]
執宝炬菩薩・宝勇菩薩・宝見菩薩・
執寶炬菩薩、寶勇菩薩、寶見菩薩、[VK0101055]
帝網菩薩・明網菩薩・
帝網菩薩、明網菩薩、[VK0101056]
無縁観菩薩・慧積菩薩・宝勝菩薩・
無緣觀菩薩、慧積菩薩、寶勝菩薩、[VK0101057]
天王菩薩・壊魔菩薩・電徳菩薩・
天王菩薩、壞魔菩薩、電德菩薩、[VK0101058]
自在王菩薩・功徳相厳菩薩・
自在王菩薩、功德相嚴菩薩、[VK0101059]
師子吼菩薩・雷音菩薩・山相撃音菩薩・
師子吼菩薩、雷音菩薩、山相擊音菩薩、[VK0101060]
香象菩薩・白香象菩薩・
香象菩薩、白香象菩薩、[VK0101061]
常精進菩薩・不休息菩薩・
常精進菩薩、不休息菩薩、[VK0101062]
妙生菩薩・華厳菩薩・
妙生菩薩、華嚴菩薩、[VK0101063]
観世音菩薩・大勢至菩薩・
觀世音菩薩、得大勢菩薩、[VK0101064]
梵網菩薩・宝杖菩薩・
梵網菩薩、寶杖菩薩、[VK0101065]
無勝菩薩・厳土菩薩・
無勝菩薩、嚴土菩薩、[VK0101066]
金髻菩薩・珠髻菩薩・
金髻菩薩、珠髻菩薩、[VK0101067]
弥勒菩薩・文殊菩薩といいます。
彌勒菩薩、文殊師利法王子菩薩,[VK0101068]
このような三万二千人の菩薩がこの集会に出席しました。
如是等三萬二千人。[VK0101069]
また一万人の尸棄(人間の死体を捨てた意味)という梵天の王が、お釈迦様の説法を聴くために、四天下からやってきました。
復有萬梵天王尸棄等,從餘四天下,來詣佛所,而聽法。[VK0101070]
また一万二千人の天帝も、四天下からやってきて、この集会に出席しました。
復有萬二千天帝,亦從餘四天下,來在會坐。[VK0101071]
(天龍八部)
それに他の強大な神の力を持っている諸天界の天人たち・龍神たち・
并餘大威力諸天、龍神、[VK0101072]
夜叉(足が速い羅刹)たち・乾闥婆(天帝の楽師)たち・
夜叉、乾闥婆、[VK0101073]
阿修羅(戦闘を好む天人)たち・迦楼羅(金翅鳥)たち・
阿脩羅、迦樓羅、[VK0101074]
緊那羅(人に似て人ではない歌神)たち・摩睺羅伽(人身蛇首の大蛇神)たちなど
緊那羅、摩睺羅伽等,[VK0101075]
もやってきて、集会に出席しました。
悉來會坐。[VK0101076]
比丘たち・比丘尼(出家した女性弟子)たち・優婆塞(男性の在家信者)たち・優婆夷(女性の在家信者)たちもやってきて、集会に出席しました。
諸比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷,俱來會坐。[VK0101077]
その時、お釈迦様は無量百千の神々と人々に恭しく取り囲まれて、皆に説法してやりました。
彼時佛與無量百千之眾,恭敬圍繞,而為說法,[VK0101078]
山々の王である須弥山が大海の中央に高くそびえ立っているように、
譬如須彌山王顯于大海,[VK0101079]
お釈迦様はさまざまな宝石で飾った獅子の座(獅子の姿を彫刻した如来の座席)に正座して、
安處眾寶師子之座,[VK0101080]
人混みの中でひときわ目立っていました。
蔽於一切諸來大眾。[VK0101081]
その時、ヴァイシャーリー大都市の長者(人格がとても良く、年配の貴族)である宝積と五百人の長者は、
爾時毘耶離城有長者子,名曰寶積,與五百長者子,[VK0101082]
皆それぞれ七宝(金・銀・瑠璃・硨磲・瑪瑙・珊瑚・玻璃)で飾った華蓋(貴族の大きな日傘)を掲げて、お釈迦様に謁見に来ました。
俱持七寶蓋,來詣佛所,[VK0101083]
長者たちは平伏して額をお釈迦様のお足につけて拝み、それぞれの華蓋をお釈迦様に供養しました。
頭面禮足,各以其蓋共供養佛。[VK0101084]
お釈迦様は神威の力を使って、それらの五百の華蓋を合わせ、そして一つの大きな天蓋としました。
佛之威神,令諸寶蓋合成一蓋,[VK0101085]
その天蓋は三千大千世界(一つの銀河系)を完全に覆い、すべての世界が天蓋の中に現れたのです。
遍覆三千大千世界,而此世界廣長之相,悉於中現。[VK0101086]
また、三千大千世界にあるそれぞれの須弥山・雪山・
又此三千大千世界諸須彌山、雪山、[VK0101087]
目真隣陀山(目真隣陀龍王が住んでいる山)・摩訶目真隣陀山(大目真隣陀龍王が住んでいる山)・
目真隣陀山、摩訶目真隣陀山、[VK0101088]
香山(香水の海にある山)・宝山(鉱山)・
香山、寶山、[VK0101089]
金山(金の山)・黒山(鉄囲山のそばの山)・
金山、黑山、[VK0101090]
鉄囲山(須弥山を囲んでいる九山八海の最も外側にある鉄でできた山)・大鉄囲山・
鐵圍山、大鐵圍山,[VK0101091]
大海・江(大きな川)・川・小さな流れ・泉・
大海江河,川流泉源,[VK0101092]
及び日月星辰・天人の宮殿・龍宮・天神の宮殿も、
及日月星辰、天宮、龍宮、諸尊神宮,[VK0101093]
全部天蓋の中に現れたのです。
悉現於寶蓋中。[VK0101094]
また、十方(あらゆる方角)の仏土にいる諸如来と諸如来が説法している光景も天蓋の中に現れました。
又十方諸佛,諸佛說法,亦現於寶蓋中。[VK0101095]
その時、皆はお釈迦様の神通力を見て、未曾有(今までに一度もなかったこと)であると賛嘆し、
爾時一切大眾。覩佛神力,歎未曾有![VK0101096]
合掌してお釈迦様を拝み、目を逸らさずにお釈迦様の尊顔を仰ぎ見ていました。
合掌禮佛,瞻仰尊顏,目不暫捨。[VK0101097]
【維摩経】仏国品
法会、始まる
このように私(アーナンダ尊者。お釈迦様の十大弟子の一人であり、弟子の中で多聞第一と称される)は聞きました。
如是我聞:[VK0101001]
ある日、お釈迦様(釈迦牟尼仏)は八千人の大比丘(出家した男性弟子)及び三万二千人の菩薩と共に、ヴァイシャーリー大都市のマンゴー樹園で説法の集会を開きました。
一時佛在毘耶離菴羅樹園,與大比丘眾八千人俱,菩薩三萬二千。[VK0101002]
〈菩薩たちの成就〉
それらの善知識(人々を正道に導く善い友人。ここでは菩薩を指す)たちは、大智慧が備わっていて、本行(自分の位階に応じる修行)が完成しました。
眾所知識,大智本行,皆悉成就。[VK0101003]
それは諸如来の加護のおかげなのです。
諸佛威神之所建立,[VK0101004]
仏法を守護するために、菩薩たちはさまざまな正法(仏法)を学んでいて、
為護法城,受持正法。[VK0101005]
人々に説法するさまはまるで獅子の咆哮のようです。名声は世間に広まりました。
能師子吼,名聞十方。[VK0101006]
人々に頼まれていなくても、菩薩たちは積極的に衆生を助け、
眾人不請,友而安之。[VK0101007]
三宝(仏・法・僧)を振興し、絶えることをさせません。
紹隆三寶,能使不絕。[VK0101008]
悪魔と怨敵(怨みがある敵)を降伏させ、外道(異教徒)を制し、
降伏魔怨,制諸外道,[VK0101009]
三業(身・口・意)は完全に清浄になり、
悉已清淨,[VK0101010]
身心は永遠に五蓋(貪欲・怒り・睡眠・掉悔・不信)と十纏(無慙・無愧・妬み・惜しみ・後悔・睡眠・興奮・惛沈・怒り・覆)から離れていて、
永離蓋纏。[VK0101011]
心は常に落ち着き、煩悩のない解脱の境地に至りました。
心常安住,無礙解脫。[VK0101012]
正念、正しい禅定、総持(心は善法を忘れず、悪法を起こさない境地)及び弁才が間断ありません。
念、定、總持,辯才不斷。[VK0101013]
布施(施すこと)・持戒(戒律を守ること)・忍辱(侮辱や迫害に耐え忍ぶこと)・
布施、持戒、忍辱、[VK0101014]
精進(一生懸命に仏道に進むこと)・禅定・智慧などの修行、
精進、禪定、智慧[VK0101015]
及び方便(機に応じて人々を教化する手段)の力を、菩薩たちはすべて達成しました。
及方便力,無不具足。[VK0101016]
無所得(得られるものがない)の真理を悟り、無生法忍(すべては不生不滅であると悟ること)の境地に至り、
逮無所得,不起法忍。[VK0101017]
いかなる環境でも衆生を済度でき、
已能隨順,轉不退輪。[VK0101018]
よく実相を理解し、衆生の資質を見極めることができ、
善解法相,知眾生根。[VK0101019]
才能が他の衆生よりすぐれ、無畏(恐れることがないこと)の境地に至りました。
蓋諸大眾,得無所畏。[VK0101020]
功徳を積んだり、智慧を培ったりすることによって心を磨き、
功德智慧,以修其心。[VK0101021]
姿は一番美しく、相好(三十二相八十種好。仏が備わっているすぐれた外見的な身体の特徴)で身を荘厳にします。
相好嚴身,色像第一,[VK0101022]
世間の装身具や化粧品を捨て去り、
捨諸世間,所有飾好。[VK0101023]
名声が高く遠く、須弥山よりもすぐれていて、
名稱高遠,踰於須彌。[VK0101024]
仏を深く信じることは金剛のように堅固です。
深信堅固,猶若金剛。[VK0101025]
まるで甘露の雨を降らせるように衆生を教化し、その声は一番美しく、
法寶普照,而雨甘露。於眾言音,微妙第一。[VK0101026]
物事の縁起(起こる因縁)を深く理解し、さまざまな邪見(誤った見解)を断ち切り、
深入緣起,斷諸邪見,[VK0101027]
有・無という二元性の観念を離れています。
有無二邊,無復餘習。[VK0101028]
菩薩たちが恐れずに仏法演説するさまは、まるで獅子の咆哮のようです。
演法無畏,猶師子吼,[VK0101029]
その演説は雷鳴のように人の心を揺さぶり、
其所講說,乃如雷震,[VK0101030]
説法の内容は、その時代の知識を超越しました。
無有量,已過量。[VK0101031]
船長が海上の宝蔵を探し求めるようにさまざまな仏法を学び、
集眾法寶,如海導師,[VK0101032]
さまざまな仏法の奧深い意味に通じていて、
了達諸法深妙之義。[VK0101033]
衆生の願望や過去・未来の因縁をよく知っています。
善知眾生往來所趣及心所行。[VK0101034]
また、それらの菩薩たちは仏の自在の智慧・十力(仏・菩薩の十種類の能力)・
近無等等佛自在慧、十力、[VK0101035]
無畏・十八不共法(仏だけに備わっている十八種類のすぐれた境地)をだいたい習得し、
無畏、十八不共。[VK0101036]
すべての悪趣(地獄・餓鬼・畜生)の門を閉め(悪の業因がない)、
關閉一切諸惡趣門,[VK0101037]
それでも、五道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道)に転生し、衆生を済度します。
而生五道以現其身。[VK0101038]
医王として衆生の病を治し(悩みを除く)、さまざまな病に応じて薬を処方し、
為大醫王,善療眾病,應病與藥,令得服行。[VK0101039]
無量の功徳をすでに達成しています。
無量功德皆成就,[VK0101040]
菩薩たちの浄土は荘厳で清浄であり、
無量佛土皆嚴淨。[VK0101041]
菩薩たちに会った後、あるいは菩薩たちの説法を聴いた後、利益を得ない人はなく、
其見聞者,無不蒙益。[VK0101042]
菩薩たちのすべての行動は衆生に役立つのです。
諸有所作,亦不唐捐。[VK0101043]
その集会に来た菩薩たちは、このような功徳がすべて備わっています。
如是一切功德、皆悉具足。[VK0101044]
その中の菩薩の名前は、
其名曰:[VK0101045]
等観菩薩・不等観菩薩・等不等観菩薩・
等觀菩薩、不等觀菩薩、等不等觀菩薩、[VK0101046]
定自在王菩薩・法自在王菩薩・
定自在王菩薩、法自在王菩薩、[VK0101047]
法相菩薩・光相菩薩・
法相菩薩、光相菩薩、[VK0101048]
光厳菩薩・大厳菩薩・
光嚴菩薩、大嚴菩薩、[VK0101049]
宝積菩薩・弁積菩薩・
寶積菩薩、辯積菩薩、[VK0101050]
宝手菩薩・宝印手菩薩・
寶手菩薩、寶印手菩薩、[VK0101051]
常挙手菩薩・常下手菩薩・常惨菩薩・
常舉手菩薩、常下手菩薩、常慘菩薩、[VK0101052]
喜根菩薩・喜王菩薩・
喜根菩薩、喜王菩薩、[VK0101053]
弁音菩薩・虚空蔵菩薩・
辯音菩薩、虛空藏菩薩、[VK0101054]
執宝炬菩薩・宝勇菩薩・宝見菩薩・
執寶炬菩薩、寶勇菩薩、寶見菩薩、[VK0101055]
帝網菩薩・明網菩薩・
帝網菩薩、明網菩薩、[VK0101056]
無縁観菩薩・慧積菩薩・宝勝菩薩・
無緣觀菩薩、慧積菩薩、寶勝菩薩、[VK0101057]
天王菩薩・壊魔菩薩・電徳菩薩・
天王菩薩、壞魔菩薩、電德菩薩、[VK0101058]
自在王菩薩・功徳相厳菩薩・
自在王菩薩、功德相嚴菩薩、[VK0101059]
師子吼菩薩・雷音菩薩・山相撃音菩薩・
師子吼菩薩、雷音菩薩、山相擊音菩薩、[VK0101060]
香象菩薩・白香象菩薩・
香象菩薩、白香象菩薩、[VK0101061]
常精進菩薩・不休息菩薩・
常精進菩薩、不休息菩薩、[VK0101062]
妙生菩薩・華厳菩薩・
妙生菩薩、華嚴菩薩、[VK0101063]
観世音菩薩・大勢至菩薩・
觀世音菩薩、得大勢菩薩、[VK0101064]
梵網菩薩・宝杖菩薩・
梵網菩薩、寶杖菩薩、[VK0101065]
無勝菩薩・厳土菩薩・
無勝菩薩、嚴土菩薩、[VK0101066]
金髻菩薩・珠髻菩薩・
金髻菩薩、珠髻菩薩、[VK0101067]
弥勒菩薩・文殊菩薩といいます。
彌勒菩薩、文殊師利法王子菩薩,[VK0101068]
このような三万二千人の菩薩がこの集会に出席しました。
如是等三萬二千人。[VK0101069]
また一万人の尸棄(人間の死体を捨てた意味)という梵天の王が、お釈迦様の説法を聴くために、四天下からやってきました。
復有萬梵天王尸棄等,從餘四天下,來詣佛所,而聽法。[VK0101070]
また一万二千人の天帝も、四天下からやってきて、この集会に出席しました。
復有萬二千天帝,亦從餘四天下,來在會坐。[VK0101071]
(天龍八部)
それに他の強大な神の力を持っている諸天界の天人たち・龍神たち・
并餘大威力諸天、龍神、[VK0101072]
夜叉(足が速い羅刹)たち・乾闥婆(天帝の楽師)たち・
夜叉、乾闥婆、[VK0101073]
阿修羅(戦闘を好む天人)たち・迦楼羅(金翅鳥)たち・
阿脩羅、迦樓羅、[VK0101074]
緊那羅(人に似て人ではない歌神)たち・摩睺羅伽(人身蛇首の大蛇神)たちなど
緊那羅、摩睺羅伽等,[VK0101075]
もやってきて、集会に出席しました。
悉來會坐。[VK0101076]
比丘たち・比丘尼(出家した女性弟子)たち・優婆塞(男性の在家信者)たち・優婆夷(女性の在家信者)たちもやってきて、集会に出席しました。
諸比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷,俱來會坐。[VK0101077]
その時、お釈迦様は無量百千の神々と人々に恭しく取り囲まれて、皆に説法してやりました。
彼時佛與無量百千之眾,恭敬圍繞,而為說法,[VK0101078]
山々の王である須弥山が大海の中央に高くそびえ立っているように、
譬如須彌山王顯于大海,[VK0101079]
お釈迦様はさまざまな宝石で飾った獅子の座(獅子の姿を彫刻した如来の座席)に正座して、
安處眾寶師子之座,[VK0101080]
人混みの中でひときわ目立っていました。
蔽於一切諸來大眾。[VK0101081]
その時、ヴァイシャーリー大都市の長者(人格がとても良く、年配の貴族)である宝積と五百人の長者は、
爾時毘耶離城有長者子,名曰寶積,與五百長者子,[VK0101082]
皆それぞれ七宝(金・銀・瑠璃・硨磲・瑪瑙・珊瑚・玻璃)で飾った華蓋(貴族の大きな日傘)を掲げて、お釈迦様に謁見に来ました。
俱持七寶蓋,來詣佛所,[VK0101083]
長者たちは平伏して額をお釈迦様のお足につけて拝み、それぞれの華蓋をお釈迦様に供養しました。
頭面禮足,各以其蓋共供養佛。[VK0101084]
お釈迦様は神威の力を使って、それらの五百の華蓋を合わせ、そして一つの大きな天蓋としました。
佛之威神,令諸寶蓋合成一蓋,[VK0101085]
その天蓋は三千大千世界(一つの銀河系)を完全に覆い、すべての世界が天蓋の中に現れたのです。
遍覆三千大千世界,而此世界廣長之相,悉於中現。[VK0101086]
また、三千大千世界にあるそれぞれの須弥山・雪山・
又此三千大千世界諸須彌山、雪山、[VK0101087]
目真隣陀山(目真隣陀龍王が住んでいる山)・摩訶目真隣陀山(大目真隣陀龍王が住んでいる山)・
目真隣陀山、摩訶目真隣陀山、[VK0101088]
香山(香水の海にある山)・宝山(鉱山)・
香山、寶山、[VK0101089]
金山(金の山)・黒山(鉄囲山のそばの山)・
金山、黑山、[VK0101090]
鉄囲山(須弥山を囲んでいる九山八海の最も外側にある鉄でできた山)・大鉄囲山・
鐵圍山、大鐵圍山,[VK0101091]
大海・江(大きな川)・川・小さな流れ・泉・
大海江河,川流泉源,[VK0101092]
及び日月星辰・天人の宮殿・龍宮・天神の宮殿も、
及日月星辰、天宮、龍宮、諸尊神宮,[VK0101093]
全部天蓋の中に現れたのです。
悉現於寶蓋中。[VK0101094]
また、十方(あらゆる方角)の仏土にいる諸如来と諸如来が説法している光景も天蓋の中に現れました。
又十方諸佛,諸佛說法,亦現於寶蓋中。[VK0101095]
その時、皆はお釈迦様の神通力を見て、未曾有(今までに一度もなかったこと)であると賛嘆し、
爾時一切大眾。覩佛神力,歎未曾有![VK0101096]
合掌してお釈迦様を拝み、目を逸らさずにお釈迦様の尊顔を仰ぎ見ていました。
合掌禮佛,瞻仰尊顏,目不暫捨。[VK0101097]