香積仏
【維摩経】香積仏品
極上のご飯!
それで、幻の菩薩はご飯が入った鉢を受け取り、
時化菩薩既受鉢飯,[VK1002001]
九百万人の菩薩たちと共に香積如来の神威及び維摩詰の力によって、
與彼九百萬菩薩俱,承佛威神及維摩詰力,[VK1002002]
一瞬で衆香仏国から維摩詰の御宅に転移してきたのです。
於彼世界忽然不現,須臾之間至維摩詰舍。[VK1002003]
維摩詰はすぐ九百万台の獅子の座を作り出しました。
時維摩詰即化作九百萬師子之座,[VK1002004]
それらの獅子の座は須弥灯王如来の獅子の座と同じく荘厳なのです。
嚴好如前,[VK1002005]
そこで、衆香仏国の菩薩たちは着席し、
諸菩薩皆坐其上。[VK1002006]
幻の菩薩がご飯がたっぷり入った鉢を維摩詰に手渡すと、
是化菩薩以滿鉢香飯與維摩詰,[VK1002007]
ご飯の香りはヴァイシャーリー大都市及び三千大千世界に広がりました。
飯香普熏毘耶離城及三千大千世界。[VK1002008]
その時、ヴァイシャーリー大都市の婆羅門や居士などの人々はその香りを嗅いで、
時毘耶離婆羅門、居士等,聞是香氣,[VK1002009]
身心が爽快になり、未曾有であると賛嘆しました。
身意快然,歎未曾有![VK1002010]
それで、長者の指導者である月蓋は八万四千人を率いて、維摩詰の御宅にやってきました。
於是長者主月蓋從八萬四千人,來入維摩詰舍。[VK1002011]
部屋には、たくさんの菩薩たちがおり、
見其室中菩薩甚多,[VK1002012]
獅子の座が高く、広く、荘厳で、美しいさまを見て、皆はとてもうれしく思いました。
諸師子座高廣嚴好,皆大歡喜,[VK1002013]
皆は菩薩たちと大弟子に礼をしてから一隅へ下がりました。
禮眾菩薩及大弟子,却住一面。[VK1002014]
大地の神々、天の神々と欲界天・色界天の天人たちも、その香りに引かれて維摩詰の御宅にやってきたのです。
諸地神、虛空神及欲、色界諸天,聞此香氣,亦皆來入維摩詰舍。[VK1002015]
その時、維摩詰はシャーリプトラなどの声聞の大弟子に言いました。
時維摩詰語舍利弗等諸大聲聞:[VK1002016]
「御仁たちよ! どうぞ。香積如来様の甘露味のご飯は大悲の火で炊き、
「仁者可食。如來甘露味飯,大悲所熏,[VK1002017]
足りないと思って食べれば、胃もたれするぞ。」
無以限意食之,使不消也。」[VK1002018]
ある声聞はこう思いました。
有異聲聞念:[VK1002019]
「たった一鉢だけのご飯を、ここにいる全員に分けることができるのでしょうか?」
「是飯少,而此大眾人人當食。」[VK1002020]
幻の菩薩は言いました。
化菩薩曰:[VK1002021]
「声聞のわずかな功徳と浅い智慧では、如来様の無量の福徳と智慧を推量できないのだ。
「勿以聲聞小德小智稱量如來無量福慧![VK1002022]
四大海は枯渇したことがあるが、このご飯は決して尽きることがないのだ!
四海有竭,此飯無盡![VK1002023]
たとえすべての人がそれぞれ須弥山のような大きい分量を取り、
使一切人食,揣若須彌,[VK1002024]
一劫の時間ずっと食べても、食べ尽くすことができないのだ。なぜなら、
乃至一劫,猶不能盡。所以者何?[VK1002025]
如来様は無尽の戒・定・慧・解脱・解脱知見の功徳が備わっておいでなので、
無盡戒、定、智慧、解脫、解脫知見功德具足者所食之餘,[VK1002026]
そのような御方のお食事の残りは尽きることがないのだ。」
終不可盡。」[VK1002027]
そこで、皆で一鉢のご飯を食べましたが、全員が満腹になっても、鉢の中のご飯は減らなかったのです。
於是鉢飯悉飽眾會,猶故不𣩠。[VK1002028]
菩薩たち・声聞たち・天人たち・人々は皆ご飯を食べてから、
其諸菩薩、聲聞、天、人,食此飯者,[VK1002029]
一切楽荘厳国の菩薩のようになり、気持ちがよくなり、体も軽やかになりました。
身安快樂,譬如一切樂莊嚴國諸菩薩也;[VK1002030]
また、すべての毛穴から絶妙な香りがしていて、その香りは衆香国土の木の香りのようです。
又諸毛孔皆出妙香,亦如眾香國土諸樹之香。[VK1002031]
その時、維摩詰は衆香仏国の菩薩たちに問いました。
爾時維摩詰問眾香菩薩:[VK1002032]
「香積如来様は何の方法によって衆生をご済度になりますか?」
「香積如來以何說法?」[VK1002033]
衆香仏国の菩薩は答えました。
彼菩薩曰:[VK1002034]
「香積如来様が説法する時、言葉をお使いにならず、
「我土如來無文字說,[VK1002035]
ただいろいろな香りによって天人たちと人々を仏道に入らせなさるのです。
但以眾香令諸天、人得入律行。[VK1002036]
菩薩たちはそれぞれに香樹の下に座って、香樹の絶妙な香りを嗅ぎ、
菩薩各各坐香樹下,聞斯妙香,[VK1002037]
一瞬で一切徳蔵三昧に入るのです。
即獲一切德藏三昧。[VK1002038]
その三昧に入る人は、菩薩の功徳がすべて備わっているのです。」
得是三昧者,菩薩所有功德皆悉具足。」[VK1002039]
【維摩経】香積仏品
極上のご飯!
それで、幻の菩薩はご飯が入った鉢を受け取り、
時化菩薩既受鉢飯,[VK1002001]
九百万人の菩薩たちと共に香積如来の神威及び維摩詰の力によって、
與彼九百萬菩薩俱,承佛威神及維摩詰力,[VK1002002]
一瞬で衆香仏国から維摩詰の御宅に転移してきたのです。
於彼世界忽然不現,須臾之間至維摩詰舍。[VK1002003]
維摩詰はすぐ九百万台の獅子の座を作り出しました。
時維摩詰即化作九百萬師子之座,[VK1002004]
それらの獅子の座は須弥灯王如来の獅子の座と同じく荘厳なのです。
嚴好如前,[VK1002005]
そこで、衆香仏国の菩薩たちは着席し、
諸菩薩皆坐其上。[VK1002006]
幻の菩薩がご飯がたっぷり入った鉢を維摩詰に手渡すと、
是化菩薩以滿鉢香飯與維摩詰,[VK1002007]
ご飯の香りはヴァイシャーリー大都市及び三千大千世界に広がりました。
飯香普熏毘耶離城及三千大千世界。[VK1002008]
その時、ヴァイシャーリー大都市の婆羅門や居士などの人々はその香りを嗅いで、
時毘耶離婆羅門、居士等,聞是香氣,[VK1002009]
身心が爽快になり、未曾有であると賛嘆しました。
身意快然,歎未曾有![VK1002010]
それで、長者の指導者である月蓋は八万四千人を率いて、維摩詰の御宅にやってきました。
於是長者主月蓋從八萬四千人,來入維摩詰舍。[VK1002011]
部屋には、たくさんの菩薩たちがおり、
見其室中菩薩甚多,[VK1002012]
獅子の座が高く、広く、荘厳で、美しいさまを見て、皆はとてもうれしく思いました。
諸師子座高廣嚴好,皆大歡喜,[VK1002013]
皆は菩薩たちと大弟子に礼をしてから一隅へ下がりました。
禮眾菩薩及大弟子,却住一面。[VK1002014]
大地の神々、天の神々と欲界天・色界天の天人たちも、その香りに引かれて維摩詰の御宅にやってきたのです。
諸地神、虛空神及欲、色界諸天,聞此香氣,亦皆來入維摩詰舍。[VK1002015]
その時、維摩詰はシャーリプトラなどの声聞の大弟子に言いました。
時維摩詰語舍利弗等諸大聲聞:[VK1002016]
「御仁たちよ! どうぞ。香積如来様の甘露味のご飯は大悲の火で炊き、
「仁者可食。如來甘露味飯,大悲所熏,[VK1002017]
足りないと思って食べれば、胃もたれするぞ。」
無以限意食之,使不消也。」[VK1002018]
ある声聞はこう思いました。
有異聲聞念:[VK1002019]
「たった一鉢だけのご飯を、ここにいる全員に分けることができるのでしょうか?」
「是飯少,而此大眾人人當食。」[VK1002020]
幻の菩薩は言いました。
化菩薩曰:[VK1002021]
「声聞のわずかな功徳と浅い智慧では、如来様の無量の福徳と智慧を推量できないのだ。
「勿以聲聞小德小智稱量如來無量福慧![VK1002022]
四大海は枯渇したことがあるが、このご飯は決して尽きることがないのだ!
四海有竭,此飯無盡![VK1002023]
たとえすべての人がそれぞれ須弥山のような大きい分量を取り、
使一切人食,揣若須彌,[VK1002024]
一劫の時間ずっと食べても、食べ尽くすことができないのだ。なぜなら、
乃至一劫,猶不能盡。所以者何?[VK1002025]
如来様は無尽の戒・定・慧・解脱・解脱知見の功徳が備わっておいでなので、
無盡戒、定、智慧、解脫、解脫知見功德具足者所食之餘,[VK1002026]
そのような御方のお食事の残りは尽きることがないのだ。」
終不可盡。」[VK1002027]
そこで、皆で一鉢のご飯を食べましたが、全員が満腹になっても、鉢の中のご飯は減らなかったのです。
於是鉢飯悉飽眾會,猶故不𣩠。[VK1002028]
菩薩たち・声聞たち・天人たち・人々は皆ご飯を食べてから、
其諸菩薩、聲聞、天、人,食此飯者,[VK1002029]
一切楽荘厳国の菩薩のようになり、気持ちがよくなり、体も軽やかになりました。
身安快樂,譬如一切樂莊嚴國諸菩薩也;[VK1002030]
また、すべての毛穴から絶妙な香りがしていて、その香りは衆香国土の木の香りのようです。
又諸毛孔皆出妙香,亦如眾香國土諸樹之香。[VK1002031]
その時、維摩詰は衆香仏国の菩薩たちに問いました。
爾時維摩詰問眾香菩薩:[VK1002032]
「香積如来様は何の方法によって衆生をご済度になりますか?」
「香積如來以何說法?」[VK1002033]
衆香仏国の菩薩は答えました。
彼菩薩曰:[VK1002034]
「香積如来様が説法する時、言葉をお使いにならず、
「我土如來無文字說,[VK1002035]
ただいろいろな香りによって天人たちと人々を仏道に入らせなさるのです。
但以眾香令諸天、人得入律行。[VK1002036]
菩薩たちはそれぞれに香樹の下に座って、香樹の絶妙な香りを嗅ぎ、
菩薩各各坐香樹下,聞斯妙香,[VK1002037]
一瞬で一切徳蔵三昧に入るのです。
即獲一切德藏三昧。[VK1002038]
その三昧に入る人は、菩薩の功徳がすべて備わっているのです。」
得是三昧者,菩薩所有功德皆悉具足。」[VK1002039]